用語解説 ダブリューエスティーエス

WSTSとは

WSTSは半導体メーカー自身が出荷データを持ち寄って集計する世界半導体市場統計の業界団体。月次売上統計と年2回の市場予測を出し、SIA発表やニュースの「世界半導体市場」数字の一次ソースになっている。

WSTS(World Semiconductor Trade Statistics、世界半導体市場統計)は、世界の半導体メーカーが自社の出荷実績を持ち寄って集計する非営利の業界統計組織です。1986年に設立され、月次の世界半導体売上高と、年2回の市場予測を発表しています。

ニュースで「世界半導体市場が前年比◯%増」と出てくるとき、その数字の一次ソースはたいていWSTSです。実際、2026年7月の世界半導体販売額は前年同月比135.1%増と過去最高の伸びを記録し、これはWSTSの集計にもとづく数字です。

WSTSとは何か — 調査会社との違い

GartnerやIDCのような外部の調査会社が推計するのではなく、**半導体メーカー自身が提出した出荷データを集計する**点がWSTSの特徴です。参加企業が守秘義務のもとで自社データを事務局に出し、個社が特定できない形に丸めて業界全体の数字として公表します。推計ではなく実出荷の積み上げなので、市場規模の「公式値」として扱われることが多いのはこのためです。

ただし裏を返すと、カバーされるのは参加企業の出荷分であり、未参加企業や集計対象外の製品は入りません。また「出荷ベース」なので、最終製品に組み込まれた需要の実態とは時間差が出ます。

何がわかるのか

公表される主な切り口は次のとおりです。

- 世界全体および地域別(南北アメリカ/欧州/日本/アジア太平洋)の売上高 - 製品カテゴリ別(メモリ、ロジック、アナログ、ディスクリート、光半導体、センサなど) - 年2回の市場予測(春季・秋季)

月次の数値は3カ月移動平均で示されるのが通例で、単月のブレをならした形になっています。米国のSIA(米国半導体工業会)が2026年9月4日(米国時間)に発表した「7月の世界半導体売上高は前年同月比135.1%増の1468億米ドル」という数字も、この3カ月移動平均ベースです。

使い方 — どこまで無料で見られるか

実務上、次の2階層があります。

**一般公開されている部分**:市場予測のプレスリリースと、世界全体の売上高サマリーは誰でも読めます。日本ではJEITA内に事務局を置くWSTS日本協議会が、春季・秋季の予測を日本語で公表しています。四半期ごとのトレンド把握や、社内資料の市場規模の出典としてはこれで足ります。

**会員限定の部分**:製品カテゴリを細かく分解した月次データ(通称Blue Book)は、会員企業向けの提供です。製品レベルで自社シェアや競合動向を追いたい場合は、この詳細データが必要になります。

料金

会費は公開されておらず、金額を明示した一次情報は確認できていません。会員は半導体メーカーが中心で、加入や料金は事務局への問い合わせが前提です。調査会社のレポートを買う感覚ではなく「データを提供する代わりに集計結果を受け取る」相互提供の枠組みである点は、検討時に押さえておくべき違いです。

競合・代替となる情報源

市場規模の数字を取る先としては、Gartner、IDC、Omdia、TechInsights(旧IC Insights)などの調査会社が代替になります。これらはWSTSと違い将来予測やシェア分析に踏み込むため、数字が食い違うことも普通にあります。実際、2026年の市場成長率予測は年初の30%前後から8月時点で90〜100%へ相次いで引き上げられ、Gartnerはメモリが市場全体の54%を占めると予測しています。

投資判断や事業計画で使うなら、WSTSを実績の基準線として置き、調査会社の予測を「解釈のレイヤー」として重ねるのが現実的な使い分けです。

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