用語解説 ダブリューエスティーエス

WSTSとは

WSTS(世界半導体市場統計)は、半導体メーカーの出荷実績を集計して世界市場の規模を示す業界統計です。ソフトではないため「使い方」は数字の読み方を指します。2026年7月の前年比135.1%増という数字を例に、読み方と注意点を解説します。

WSTS(World Semiconductor Trade Statistics、世界半導体市場統計)は、半導体メーカーが自社の出荷実績を持ち寄り、世界の半導体販売額を集計・公表する業界統計の枠組みです。ソフトウェアやクラウドサービスではないため、「WSTS 使い方」の答えはツールの操作手順ではなく、公表される月次の販売額や市場予測をどう読むか、になります。

誰が作っているかというと、参加する半導体企業が実績データを提出し、それを合算しています。市場調査会社がアナリストの推計で市場規模を出すのとは違い、メーカー自身の申告を積み上げている点がWSTSの特徴です。米国ではSIA(米国半導体工業会)がWSTSの月次データを使って発表しています。当サイトの記事で扱った2026年7月の数字も、WSTSとSIAで同じ「前年同月比135.1%増」でした。

具体的な数字で見てみます。SIAが2026年9月4日(米国時間)に発表した統計では、2026年7月の世界半導体売上高(3カ月移動平均)は1468億米ドル(約22兆6000億円)で、前年同月比135.1%増でした。さらに、2026年1〜7月の累計だけで2025年の年間売上高7956億米ドル(約122兆5000億円)を上回っています。伸びの主な原因はメモリです。DRAMとNANDフラッシュの容量当たり単価が1年で約7倍に上がりました。

数字を読むときの注意点が三つあります。一つ目は、月次の値が単月の値ではなく3カ月移動平均であることです。単月の急な動きはならされて見えます。二つ目は「135.1%増」が「2.351倍」を意味することです。「135%」を2倍強と取り違えないようにしてください。三つ目は、販売額は金額の統計なので、数量ではなく単価の上昇でも大きく伸びることです。2026年の急増はメモリ価格の高騰によるもので、出荷数量が同じ割合で増えたとは言えません。

事業会社の企画・DX担当の方には、WSTSは半導体調達コストの動きを見る指標として役立ちます。メモリ単価が上がる局面では、サーバーやPC、組込み機器の部材費が上がる可能性があります。予算やハードウェア更新の時期を決めるときの参考になります。ただしWSTSが示すのは業界全体の販売額で、個別部品の見積価格ではありません。調達の判断には、取引先からの価格情報と合わせて使う必要があります。

「WSTS 料金」について。月次の主な数字はSIAなどのプレスリリースで無料で読めます。より細かいデータを会員以外が手に入れる条件や価格は、当サイトの参考情報では確認できていません。正確な条件はWSTSの公式サイトで確認してください。

投資家の方が気にする競合について、WSTSは企業ではなく業界統計なので、市場シェアを争う相手はいません。比べる対象になるのは、市場調査会社による推計です。当サイトの記事ではGartnerが、メモリが市場全体の54%を占めると予測しています。WSTSはメーカーの実績値、調査会社は独自の推計と、成り立ちが違います。数字が合わないときは、どの品目が集計に入っているかと、その数字の出どころを確認するのが基本です。

予測についても補足します。2026年の市場成長率予測は、年初の30%前後から、8月時点で90〜100%まで何度も引き上げられました。WSTSは一般に年2回、市場予測を出しています。ただ、上の引き上げのうちどれがWSTS自身の予測なのかは、当サイトの参考情報では分けられていません。予測の数字を引用するときは、発表した機関と日付を必ず確認してください。

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