用語解説 デマンドレスポンス

デマンドレスポンスとは

デマンドレスポンス(DR)は、電力の需給が厳しいときに使う側が消費を減らしたり時間をずらしたりして、需給バランスを保つ仕組み。仕組みと使い方、料金の考え方を解説する。GoogleやNVIDIAらが設立したAEMAによるデータセンターへの応用も紹介する。

デマンドレスポンス(DR)とは、電力の需給が厳しくなったときなどに、電気を使う側(需要家)が消費量を減らしたり、使う時間をずらしたりして、電力系統の需給バランスを保つ仕組みです。発電所の出力を需要に合わせるのではなく、需要のほうを供給に合わせて動かす点が特徴です。

DRには、需要を減らす「下げDR」と、再生可能エネルギーの発電が余る時間帯などに需要を増やす「上げDR」があります。一般的な流れでは、電力会社や系統運用者、または複数の需要家をまとめる事業者(アグリゲーター)から要請や信号が届きます。需要家はそれを受けて、生産設備、空調、蓄電池などの稼働を調整します。応じた需要家は、減らした電力量などに応じて対価を受け取るのが基本的な形です。

エンジニアから見ると、DRは「外部からの信号に応じて負荷を制御する仕組み」をどう実装するかという課題になります。必要な作業は3つあります。どの設備をどれだけ、何分間止められるかを事前に把握すること。信号を受けたら制御を実行すること。実際に減らせた量を計測して報告することです。具体的な通信規格やAPIは制度、地域、事業者によって異なるため、本稿では特定しません。

最近はデータセンターへの応用が注目されています。当サイトの記事によると、電力系統向けソフトウェアのユニコーン企業Emerald AIが、GoogleやNVIDIAとともに業界連合「AI Energy Management Alliance(AEMA)」を設立しました。狙いは、データセンターが一時的に電力使用を絞るDRを、データセンター開発の標準的な構成要素にすることです。手段として、重要度の低いタスクの停止と計算負荷の移動が挙げられています。

計算負荷の移動とは、急がないAIの学習ジョブを後回しにする、別の地域のデータセンターに処理を移す、といった操作を指すと考えられます。ただしこれは筆者の解釈で、AEMAが示す具体的な手法は確認できていません。生産ラインと違い、計算処理は時間や場所を比較的動かしやすいので、DRと相性がよいという見方ができます。これも推測です。

事業会社の企画・DX担当にとって、DRを活用できるかは、止めたりずらしたりできる電力負荷を持っているかで決まります。調整できる負荷があれば、DRに参加して対価を得られる可能性があります。また、電力を確保しにくい地域で設備を増やす際の交渉材料になる可能性もあります(後者は推測です)。料金や報酬の水準、参加条件は制度や契約ごとに異なり、本稿では具体的な金額を示せません。検討する場合は、契約中の電力会社やアグリゲーターに条件を問い合わせるのが確実です。

投資家の観点では、DRの中心はソフトウェア、計測データ、制御です。Emerald AIのような専業のスタートアップと、GoogleやNVIDIAのような大手が連携し、データセンター向けの標準化を進めようとしている段階です。ただしAEMAについては、設立の正式な日付、運営体制、参加要件などの詳細は確認できていません。競合関係や市場規模についても、本稿の情報源から言えることは限られます。

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