AIエージェントとは、大規模言語モデル(LLM)に目標を渡すと、自分で手順を立て、外部のツールを呼び出して作業を最後まで進めるソフトウェアのことです。質問に1回答えて終わるチャットAIとの違いは、「調べる→操作する→結果を見て次の手を決める」を自分で繰り返す点にあります。
エンジニア向けに仕組みを説明します。中心にあるのは繰り返しの処理です。モデルが次の行動を決めてツール(コードの実行、ファイル操作、Web検索、社内APIなど)を呼び出し、返ってきた結果を読んで、また次の行動を決めます。この形と特に相性がよいのがソフトウェア開発です。リポジトリを読み、コードを書き、テストを実行し、失敗したら直すまでを任せる製品が先に広まっています。使うときは、細かな指示を1つずつ出すのではなく「どうなれば完了か」をはっきり書いて任せ、出てきた成果をレビューするのが基本です。実際に運用するうえでは、触ってよいファイルやシステムの範囲をどこまで絞るかが重要になります。
事業会社の企画・DX担当の方には、手順が決まっていて複数のシステムにまたがる定型業務が向いています。経営への影響を考える材料として、日経クロステックが書籍『AIエージェント革命 「知能」を雇う時代へ』からの抜粋として、メガバンク3社の財務諸表をもとに生成AIでどれだけ業務を置き換えられるかを試算した記事を公開しています。前提となる数字は3社の平均で、業務粗利益が約1兆8900億円、経費が約1兆500億円、そのうち人件費が約4400億円(41.6%)です。従業員は平均2万4783人で、約50%にあたる1万2115人がリテール部門にいます。ただしこれは財務諸表から計算した試算で、実際に導入した結果の数字ではありません。
料金について、当サイトの参照情報には各製品の価格が含まれていないため、この記事では金額を書きません。一つ言えるのは、エージェントは1つのタスクの中でモデルを何度も呼び出すため、同じ依頼でもチャットで1回聞くより利用量が増えやすいことです。これは仕組みから導いた推測です。料金を比べるときは、月額料金だけでなく「1タスクあたりの利用量」がどう数えられるかを各社の公式情報で確認してください。
投資家向けには、分かりやすい例としてCognitionがあります。同社はAIソフトウェアエンジニア「Devin」を開発しており、2026年9月8日に企業評価額480億ドルで、20億ドルを超えるシリーズEの調達を発表しました。Andreessen HorowitzとAccelが主導し、Founders Fund、General Catalyst、Avenirなど既存の投資家も加わっています。同社は、5月の前回の調達以降も年換算売上高が伸びていると説明しています。短い期間に続けて大型の調達をしていることから、コーディング用エージェントに資金が集まっているのは事実です。
競合関係を見るうえでは、Cognitionのような専業のスタートアップに加え、LLMを自社で開発する企業も自らコーディング用エージェント(AnthropicのClaude Code、OpenAIのCodexなど)を提供している点が重要です。モデルを仕入れる先が同時に競合でもあるこの構図が、専業企業の利益率や差別化にどう響くかは、この記事の執筆者の見立てであり、まだ確認された事実ではありません。
まとめると、AIエージェントは「答えるAI」から「作業するAI」への移行を表す言葉です。エンジニアは任せ方と権限の設計を、企画担当者は置き換えられる業務の範囲と試算の前提を、投資家はモデル開発企業との競合を、それぞれ確かめることをおすすめします。

