自動運転レベル4は、あらかじめ定めた走行条件(ODD=運行設計領域)の内側なら、システムが運転操作のすべてを担い、人間が監視も引き継ぎもしなくてよい段階を指す。運転席が無人でも走れる点がレベル3との決定的な違いで、代わりに「どこでも走れる」わけではなく、対応エリアや天候、速度の条件から外れると走行自体をしない。
レベル3との違いは「誰が責任を持つか」
レベル3は、システムが運転している間も運転者が席に座り、システムから要請があれば運転を引き継ぐ義務がある。レベル4はこの引き継ぎ要請(テイクオーバー)を前提にしない。ODD内で対応できない状況に陥った場合、システム自身が安全に停止するところまで責任を持つ設計になる。
エンジニアの観点では、この差はフェイルオペレーショナル要件として表れる。センサー・計算機・電源・制動系を冗長化し、一部が故障しても最小リスク状態(路肩停止など)へ自力で移行できる必要がある。さらに実運用では遠隔監視・遠隔支援のオペレーションセンターが事実上必須だ。「無人」は車内に人がいないという意味で、運用に人が要らないという意味ではない。
日本での使い方と法律上の位置づけ
日本では2023年4月施行の改正道路交通法で「特定自動運行」の許可制度が新設され、レベル4相当の無人運行は都道府県公安委員会の許可を得て行う枠組みになっている。事業者が自由に走らせられるものではなく、走行ルート・ODD・遠隔監視体制をセットで申請する形になる。
一般ユーザーにとっての「使い方」は、当面は自家用車の機能ではなく、事業者が運行するサービスに乗る形になる。GO・Waymo・日本交通の3社は2026年9月15日、東京都での自動運転タクシー商用化に向けた戦略的パートナーシップに合意したと発表し、2027年内に日本初となるドライバー非乗車のレベル4完全無人走行による商用タクシー運行を目指すとしている。まずWaymoの社員を対象に実運用を行い、その後に顧客向けのサービス提供を始める。運行台数は段階的に100台規模へ広げる計画だ。
料金はいくらか
この東京のサービスについて、利用者向けの運賃は公表されていない。既存のタクシー運賃に準じるのか独自の価格体系になるのかは公開情報がなく、推測で語れる段階ではない。車両価格や導入コストも各社非公表である。
ただし事業会社がコストを見積もる際、車両とソフトウェアだけを数えると外す。遠隔監視の人員、車両整備とセンサー清掃、保険、許可取得と地図の維持が継続費として乗る。レベル4の経済性は「ドライバー人件費がゼロになる」ではなく「人件費が運行から監視・整備へ移る」構造として見るのが妥当だ。
誰が作っていて、競合は何か
東京の案件では、Waymo(Alphabet傘下)が自動運転技術、GOが配車プラットフォーム、日本交通が車両運行とタクシー事業の実務を担う分担になる。Waymoは米国で無人のロボタクシーを商用運行しており、レベル4の実績で先行している。
競合としては、米国ではAmazon傘下のZooxやTesla、中国ではBaidu(Apollo Go)やPony.aiが無人運行を進めている。国内でもティアフォーなどが開発を手がけるが、東京都でのレベル4商用タクシーとして具体的な時期を公表しているのは、現時点では今回の3社連合である。投資家が追うべき指標は、走行距離あたりの遠隔介入回数、ODDの拡大速度、そして許可を取得できたエリアの広さになる。
