Ascend(アセンド)は、中国のHuaweiが開発しているAIアクセラレーターのシリーズ名です。AIモデルの「学習」と「推論」を高速に処理する専用チップで、Huaweiは毎年のイベント「Huawei Connect」で今後の製品計画を発表しています。
※「Ascend」という名前の製品やサービスはほかにもあります。この記事で扱うのはHuaweiのAIチップです。
最新のロードマップは、上海で9月17日に開かれたHuawei Connectで示されました。次の世代はAscend 960で、用途ごとに2つのモデルに分かれます。学習向けのAscend 960DTは2027年第1四半期に、推論向けのAscend 960PRは2027年第3四半期に投入する予定です。そのあとはAscend 970を2028年に、Ascend 980を2029年に出すとしています。毎年新しい世代を出す計画です。
今回の発表で目立つのは、予定を前倒ししたことです。960PRは当初の計画より1四半期早まりました。960DTも前倒しされましたが、どれだけ早まったかは報道によって違います。当サイトの記事の1本は「3四半期の前倒し」と書いています。もう1本はTechCrunchの報道として「当初予定は2027年第3四半期で、約半年の前倒し」と伝えています。どちらが正しいかは、今回の資料だけでは確かめられません。
公表されている性能の数値は、960PRのFP4演算性能が8PFLOPSという点だけです。昨年Huaweiが示した値の2倍にあたります。FP4は、推論を軽くするために使う低い精度の数値形式です。学習向けの960DTについては、Huaweiは詳しい仕様も性能も明らかにしていません。
チップ単体の性能とは別に、Huaweiはたくさんのチップをつなげて使う構想も出しています。多数のプロセッサーを1台のコンピューターのように動かす仕組みで、最大100万個のチップをつなげることを目指しています。この仕組みの正式名称や技術的な詳細は、当サイトの記事では確認できていません。
エンジニアの方へ:この記事の情報源には、Ascendを使うための開発環境、対応しているフレームワーク、入手方法は書かれていません。導入を検討するときは、Huaweiの公式ドキュメントで確認してください。今回の発表から、推論用のチップでFP4を重視していることは読み取れます。
企画・DX担当の方へ:Ascendはチップの製品群です。そのため、生成AIを学習させたり動かしたりする計算基盤として検討する対象になります。チップの価格や利用料金は、当サイトの記事では公表されておらず、この記事では書けません。日本からどのように調達できるかも、今回の情報源には含まれていません。
投資家の方へ:開発しているのはHuaweiです。ここからは編集部の推測ですが、主な競合はNVIDIAなどが作る学習・推論向けのGPUやAIアクセラレーターだと考えられます。ただし、競合製品と性能を直接比べたデータは、今回の情報源にはありません。確認できる事実は3つです。毎年新しい世代を出すロードマップがあること、960シリーズの投入を前倒ししたこと、大規模にチップをつなげる構想を掲げたことです。一方で、960DTの性能は公表されていません。どれだけ前倒ししたかも報道によって違います。この2点は、次の発表で確かめる必要があります。
