用語解説 アイオン

IOWNとは

IOWNは、NTTが提唱する次世代の情報通信基盤構想です。通信経路の電気処理を光に置き換えて、低遅延・大容量・省電力化をめざします。この記事では、中核技術のAPNや現在の用途、料金の調べ方、推進体制と比較対象をまとめます。

IOWN(アイオン、Innovative Optical and Wireless Network)は、NTTが2019年に発表した次世代の情報通信基盤の構想です。ネットワークから端末内部まで、電気で処理している部分を光に置き換え、今のインターネットより低遅延・大容量・低消費電力の基盤をつくることを目的としています。

IOWNは単体の製品やサービスの名前ではありません。複数の技術をまとめた構想の名前です。中核となるのは、通信経路を端から端まで光のままつなぐ「オールフォトニクス・ネットワーク(APN)」です。従来の網では途中で光信号をいったん電気信号に変換して処理しており、そこで遅延と電力消費が生じていました。APNはこの変換を減らすことで、遅延を小さくし、揺らぎも抑えます。さらに、光と電子の回路を1つのデバイスにまとめる「光電融合」の技術で、サーバーやチップ内部の配線も光に置き換える計画があります。NTTはIOWN全体で、電力効率・伝送容量・遅延を大幅に改善するという数値目標を掲げています。ただし、これは2030年ごろに向けた目標で、現時点の実績値ではありません。

エンジニアにとって、IOWNは今すぐ直接使えるAPIやSDKではありません。現在使えるのは、APNを使った専用線型の接続サービスです。NTT東日本・西日本は2023年3月に、APNを使った最初の商用サービスを始めました。拠点間を光の専用経路で結ぶ形なので、使う側から見れば「遅延の小さい太い回線」を契約して、その上で自分のシステムを動かすことになります。

当サイトで取り上げた実例では、NTTドコモビジネス・中国電力・NTTアノードエナジー・エネコム・北海道総合通信網(HOTnet)の5社が、2026年8月に「ワット・ビット連携」の実証を始めました。IOWN系のネットワーク「APN Plus」で三鷹・札幌・広島などのデータセンターを結び、各地の電力の状況に合わせてAI処理を拠点間で振り分けるものです。総務省の実証に採択されており、期間は2027年2月までです。離れたデータセンター同士を、1つの計算資源のように扱うための通信基盤として使われています。

事業会社の企画・DX担当者向けの用途としては、次のようなものが考えられます。IOWNの特徴が生きるのは、遅延と帯域の条件が厳しい処理です。 - 複数の拠点に分散したデータセンターやGPUの連携 - 遠隔地を結んだリアルタイム処理 - 大容量データの拠点間転送

なお、NTTドコモビジネスは1GPU単位で使えるAI開発基盤「GPUaaS」も提供しています。ただし、手元の情報ではGPUaaSとIOWNの関係は確認できませんでした。

料金については、この記事の執筆時点で確認できる資料に具体的な金額がありません。そのため、ここでは数字を載せていません。サービスの内容は、提供会社・区間・帯域によって違います。検討する場合は、NTT東日本・西日本やNTTドコモビジネスなどの提供元に、区間と帯域を伝えて見積もりを取るのが確実です。

投資家の観点では、IOWNを主導しているのはNTTグループです。2020年にはNTT・Intel・ソニーが「IOWN Global Forum」を設立し、国際的な仕様づくりと参加企業の拡大を進めています。競合として、同じ名前・同じ範囲の構想を掲げる他社は、手元の情報では確認できません。ここからは筆者の見方ですが、比較の相手になるのは次のようなものです。 - 既存の専用線や広域イーサネット - 各国の通信事業者やクラウド事業者によるデータセンター間の光ネットワーク - 半導体各社が進める光インターコネクトの技術

IOWNの評価は、光電融合デバイスの量産時期と、APNを使うサービスの利用がどこまで広がるかで決まると考えられます。

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