DRAM(Dynamic Random Access Memory)は、コンピュータが今まさに処理しているデータを一時的に置いておく主記憶メモリです。1ビットを1個のトランジスタと1個のコンデンサで保持する構造のため、電源を切れば内容は消え、通電中も一定間隔でデータを書き戻す「リフレッシュ」を続ける必要があります。
DRAMとは:SRAM・NANDとの違い
位置づけは「速さと容量単価の中間」です。CPU内のキャッシュに使われるSRAMより低速だが、1ビットあたりの回路が単純なため大容量を安く作れます。逆にNANDフラッシュ(SSD)と比べるとアクセスは桁違いに速いが、電源を落とすとデータが残らない。この「速いが揮発する」性質から、OSやアプリの作業領域という役割が決まっています。
使い方:エンジニアが実際に意識する点
DRAMそのものをコードから直接制御する場面はほぼなく、効いてくるのは容量・帯域・レイテンシの3つです。用途ごとに規格が分かれており、PC/サーバー向けのDDR系、消費電力を抑えたモバイル向けのLPDDR系、そしてダイを積層して帯域を稼ぐHBM(広帯域メモリ)があります。
AI向けで重要なのはHBMです。GPU/アクセラレータに載るメモリ容量と帯域が、そのまま扱えるモデルサイズや推論スループットの上限になります。学習・推論ワークロードで「メモリ律速」が起きやすいのはこのためです。
料金:単価が1年で約7倍に動いた
DRAMに公開された定価はなく、スポット価格と長期契約で調達するのが通常です。そのうえで、足元の価格は歴史的な水準で動いています。業界団体WSTSによると、2026年7月の世界半導体販売額は前年同月比135.1%増と過去最高の伸びを記録し、その主因はDRAMとNANDフラッシュの容量当たり単価が1年で約7倍に跳ね上がったことでした。
2026年の市場成長率予測も、年初の30%前後から8月時点で90〜100%へと相次いで引き上げられています。Gartnerはメモリが半導体市場全体の54%を占めると予測。調達やインフラ費用を見積もる立場なら、過去の単価前提はそのまま使えないと考えたほうが安全です。
誰が作っているのか:3強と中国勢
供給側はSamsung、SK hynix、Micronの3社が中心という構図が長く続いています。SK hynixは2026年9月18日(現地時間)に米カリフォルニア州サンタクララで「2026 Global Forum」を開催し、クァク・ノジョンCEOは基調講演で「メモリなしにAI産業は存在し得ない」と述べました。同イベントは2012年から毎年、技術ビジョンを示す場として続けられているものです。
挑戦者は中国のCXMT(長鑫存储)。同社は中国のDRAM最大手で、DRAM事業で大きな利益を出しているとされ、北京近郊に建てる第2工場に3D NANDの研究開発ラインを置く計画だと関係者3人の話として報じられました。ただし第2工場は未着工で稼働は少なくとも2〜3年先とみられ、CXMT自身は計画を正式に認めていません。実現すれば3D NAND大手YMTCの領域に踏み込む形になります。


