Muse は、Meta が提供する AI アシスタントです。質問に答えるだけでなく、ユーザーの代わりに操作を実行する「AI エージェント」として動作し、当サイトの報道では音声の文字起こし、メッセージを踏まえた提案、EC サイトでの商品購入に使われていることが確認できています。
ここでは、当サイトが報じた事実に絞って Muse を解説します。報道から読み取った推測には、その旨を書き添えます。
Muse とは:何ができるのか
報道から確認できる機能は次の 3 つです。
1 つ目は音声入力です。Muse には「音声の文字起こし先エンドポイント」という設定項目があります。音声を文字にする処理をどこかのサーバーで行う仕組みだと考えられます(推測)。
2 つ目は、端末上のメッセージを踏まえた提案です。米 Inc. のテクノロジーライター、ジェイソン・アテン氏は、Muse がメッセージを読み、その内容をもとに提案してきたと報告しています。
3 つ目は買い物の代行です。Muse から Amazon の商品を購入する使い方が実際に行われていました。
macOS セキュリティの専門家が Muse の設定を解析していることから、macOS で動くクライアントがあると考えられます(推測)。対応 OS の正式な一覧は確認できていません。
使い方の前に知っておくべきセキュリティ上の問題
Muse には、端末上で動く別のアプリやターミナルコマンドから、エージェントを完全に乗っ取れるゼロデイ脆弱性が見つかっています。発見者は macOS セキュリティの専門家 Patrick Wardle 氏です。同氏によると、Muse には文書化されていない設定があり、どのアプリからでも書き換えられます。その中に文字起こし先エンドポイントの設定が含まれるため、音声の送り先を攻撃者のサーバーに差し替えられる恐れがあります。
プライバシーの問題も指摘されています。アテン氏は、アクセスを許可していないはずのメッセージを Muse が読んでいたと報告しました。Muse は当初「通知のプレビューを見た」と説明しましたが、同氏が調べると、ローカルのメッセージデータベースから同期し、データソースとしてアップロードしていました。本人の説明と実際の挙動が食い違っていた点が問題視されています。
エンジニアや情報システム部門が業務端末に入れる場合は、Muse にどの権限を与えているかに加え、端末上の他のアプリから設定を変えられる点も確認が必要です。
料金
当サイトが確認した範囲では、Muse の料金体系(無料か有料か、法人向けプランの有無)は分かっていません。導入を検討する場合は、Meta の公式情報を直接確認してください。
開発元と競合:Amazon による遮断
Muse を開発しているのは Meta です。
事業面で注目されるのが Amazon との衝突です。ある日曜の夜から、Muse で Amazon の商品を買おうとすると「許可されていない AI エージェントによる継続的なアクセスは、お客様が同意した利用規約に違反する」というエラーが出るようになりました。Amazon は自社の基盤モデルと推論基盤を持っています。競合する Muse に門戸を開く理由はなく、巨大テック同士の主導権争いという側面があります。
DX 担当者や投資家にとっての要点は、エージェントで何ができるかが、AI の性能だけでなく、接続先の企業が利用規約でアクセスを認めるかどうかにも左右されることです。Muse の買い物機能がどこまで使えるかは、Amazon のような接続先の方針に依存します。











