用語解説 ワイエムティーシー

YMTCとは

YMTC(長江存儲、Yangtze Memory Technologies)は中国・武漢を拠点とする3D NANDフラッシュメモリのメーカー。SSDなどの記憶装置に使われるチップを作っている。独自構造Xtacking、米国の輸出規制、中国DRAM最大手CXMTのNAND参入報道まで、何を作る会社か、どう調達するか、競合はどこかを整理する。

YMTCとは

YMTC(Yangtze Memory Technologies、中国語名は長江存儲)は、中国・武漢に本拠を置く3D NANDフラッシュメモリのメーカーです。SSDやスマートフォンのストレージに使われる、電源を切ってもデータが消えない記憶用チップを設計・製造しています。

NANDフラッシュは、データを一時的に置くDRAMとは役割が違います。YMTCはNANDに特化した中国の代表的な企業で、当サイトの記事でも「3D NAND大手」として扱っています。

何ができるのか:技術の特徴

YMTCの特徴として知られているのが「Xtacking」という独自の製造方式です。記憶セルの部分と、それを制御する回路の部分を別々のウエハーで作り、あとで貼り合わせます。一般的なNANDでは同じウエハー上に両方を作るため、Xtackingは工程の分け方そのものが異なります。

エンジニアにとっては、YMTCは直接使うソフトウェアやサービスではありません。YMTCのNANDを積んだSSDなどの製品を通じて使うことになります。YMTCは自社のコンシューマー向けSSDブランド(致態/ZhiTai)も展開しています。積層数や製品ごとの性能は世代によって異なるため、採用する前にそのSSDのデータシートで確認してください。

使い方・料金:どう調達するのか

「YMTC 使い方」「YMTC 料金」で調べている方に向けて先にお伝えすると、YMTCには月額料金やAPIのようなものはありません。YMTCは部品メーカーなので、価格はSSD製品の店頭価格や、法人間の取引で決まる部品価格として表れます。この記事では具体的な価格は扱いません。

事業会社の企画・DX担当者が注意したいのは、調達にともなうリスクです。YMTCは2022年12月に米国商務省のエンティティリスト(輸出規制の対象リスト)に加えられています。米国の規制が絡む案件や、政府系・重要インフラ向けの案件では、YMTC製チップを載せた機器を使えるかどうかを、法務・調達部門と事前に確認する必要があります。

メモリ市況にも目を向けておく必要があります。当サイトの記事によると、AcerのJason Chen CEOは、逼迫しているのは高速DDR5や一部のCPUに限られ、SSDの供給自体は十分だとしています。一方で、PC価格は年末にかけて5〜20%上がる見通しも示しています。

誰が作っているのか・競合は

投資家の視点で見ると、NAND市場の主な競合は韓国のSamsung ElectronicsとSK hynix、日本のキオクシア、米国のMicronなどです。YMTCは、中国国内でNANDを量産できる数少ない企業という位置づけです。

国内でも新しい動きがあります。当サイトが報じたところでは、中国DRAM最大手のCXMT(長鑫存儲)が、北京近郊に建てる第2工場に3D NANDの研究開発ラインを置く計画だと伝えられました。CXMTは正式に認めておらず、第2工場もまだ着工していないため、稼働は少なくとも2〜3年先とみられます。これが実現すれば、中国国内でYMTCの領域に競合が入ってくることになります。ただ、現時点では報道の段階にとどまっています。

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