用語解説 ネオクラウド

ネオクラウドとは

ネオクラウドは、AIの学習・推論向けにGPU計算資源を貸し出す新興のクラウド事業者です。代表例である英Nscaleの上場申請資料をもとに、用途、料金面で分かっていること、主な顧客、投資家が見るべきリスクを整理します。

ネオクラウドとは

ネオクラウドとは、AIの学習や推論に使うGPUの計算資源を専門に貸し出す、新興のクラウド事業者のことです。サーバーやストレージ、データベースなどを幅広くそろえる汎用クラウドと違い、AI向けのGPU計算能力の提供に事業を絞っている点が特徴です。

代表例のひとつが、ロンドンに拠点を置く英国のNscaleです。同社はニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場を目指し、米証券取引委員会(SEC)にForm S-1を提出しました。ティッカーはNSCLです。この申請資料から、ネオクラウドの事業の中身がかなり具体的に見えてきます。

何に使えるのか・使い方

中心となる用途は、AIモデルの学習と推論に必要なGPUの確保です。Nscaleの場合、主な利用者は大手AI企業で、大規模な長期契約を結ぶ形が中心です。8月31日時点で、有効・契約済みの総契約価値は1034億ドルを超えています。そのうち約85%をMicrosoftとAnthropicの2社との契約が占めています。

推論需要の伸びも背景にあります。CNBCは9月18日、OpenAIとAnthropicが20〜30MW規模の既存データセンターの確保を探っていると報じました。両社はギガワット級の巨大拠点に巨額を投じていますが、完成までには年単位の時間がかかります。一方、推論は小さなクラスターに分散して処理できます。そこで、電源を確保済みの中小施設で目先の需要をまかなう狙いです。この報道自体はネオクラウドを扱ったものではありません。ただ、「すぐに使えるGPU容量」への需要が強いことを示しており、ネオクラウドにとって追い風になると考えられます(これは推測です)。

エンジニアが気になる操作手順、APIの仕様、提供しているGPUの型番は事業者ごとに違い、本記事の参照情報には含まれていません。導入を検討するときは、各社の公式資料で確認してください。

料金

一般の利用者向けの時間単価や料金体系は、本記事の参照情報に含まれていないため記載しません。事業会社が検討する場合は、個別に見積もりを取る必要があります。

料金に関連して分かっているのは、事業者側の収支です。Nscaleの6月30日までの半年間の売上高は、1040万ドルから1億4060万ドルへ約13.5倍に増えました。その一方で、純損失は3億6890万ドルから10億2000万ドルへ拡大しています。GPUとデータセンターへの先行投資が重く、売上が急増しても赤字が膨らむ構造だと読み取れます(この点は数字からの解釈です)。

誰が作っているのか・競合とリスク

本記事で確認できる事業者はNscaleです。構造上の比較対象は、GPU以外のサービスも幅広く提供する汎用クラウドです。ネオクラウドはGPU計算能力に特化することで違いを出しています。なお、Nscaleの主要顧客であるMicrosoftは、自社でもクラウド事業を運営しています。

投資家が特に見るべき点は3つあります。1つ目は顧客の集中です。契約残高の約85%が2社に偏っているため、どちらかとの関係が変わると業績への影響が大きくなります。2つ目は資金調達への依存です。Anthropicとの契約は、Nscaleが資金を調達できることを条件としており、厳しいマイルストーンも課されています。3つ目は赤字の拡大です。1000億ドルを超える契約残高を実際の利益に変えられるかどうかが、ネオクラウドという事業モデルの評価を左右します。

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