パワー半導体とは、電気の電圧や電流、周波数を変換・制御するための半導体です。計算や記憶を担うCPUやメモリとは違い、電力そのものを高い効率でオン・オフし、モーターや電池、送電網に流れる電気を必要な形に変える役割を担います。
パワー半導体とは:何をする部品か
主な仕事は、交流を直流にする整流、直流を交流にするインバーター、電圧を上げ下げする変換の3つです。代表的な素子には、ダイオード、MOSFET、IGBTがあります。高速なスイッチングで電力を細かく刻んで制御するため、変換のときに失われる電力(損失)をどれだけ減らせるかが性能の中心になります。
材料はシリコン(Si)が主流です。より高い電圧や温度に強く、損失も小さいSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)の採用も進んでいます。一方でSiCは非常に硬く、加工に時間がかかる素材です。当サイトの記事では、ジルコニアゾルを使ってSiCウエハーの研磨速度を1.6倍にした技術をMONOistの報道として紹介しました。
使い方:どこで何に使われるか
電気を使う機器のほぼすべてに組み込まれています。代表的な用途は、電気自動車(EV)のモーター駆動用インバーターと充電器、鉄道車両、産業用モーター、エアコンなどの家電、太陽光発電のパワーコンディショナー、データセンターやPCの電源です。
エンジニアが使うときは、単体の素子や複数の素子をまとめたモジュールを選び、ゲート駆動回路や放熱設計と組み合わせます。耐圧、電流定格、スイッチング速度、発熱が選定の主な軸です。事業会社の企画やDXの観点では、部品として買うよりも「電力変換の効率を上げて電気代や機器の大きさを減らす手段」として捉えると、検討しやすくなります。
料金:価格はどう決まるか
パワー半導体に決まった「料金」はありません。素子の種類、耐圧、電流容量、パッケージ、購入量によって価格は大きく変わります。具体的な価格は商社やメーカーの見積もりで確認する必要があり、本記事では金額を示しません。
一般に、SiCは同じ用途のSi製品より高価です。その理由のひとつが基板(ウエハー)のコストです。住友金属鉱山が12インチ(300mm)のSiC基板を開発し、サンプル出荷に進むとMONOistが報じました。ただし出荷の時期や量産計画は確認できていません。基板を大口径化すれば1枚から取れるチップが増えるため、コストが下がると見られます(これは推測で、実際の価格への影響はまだ分かりません)。
誰が作っているか:主要メーカーと競合
主なメーカーは、欧州のInfineon Technologies、STMicroelectronics、米国のonsemi、Wolfspeed、日本の三菱電機、富士電機、東芝、ローム、ルネサス エレクトロニクスなどです。Si製品では老舗の大手が強く、SiCやGaNでは基板から素子まで一貫して手がける企業や新しい勢力も競っています。
投資の観点では、EV向けの需要、SiC基板の大口径化と歩留まり、研磨のような加工工程の効率化が競争力を左右する論点です。各社のシェアや業績の数値は、決算資料や調査会社のレポートで最新の値を確認してください。




