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産業用ロボットとは

産業用ロボットとは、工場で溶接・搬送・組立などを自動で行う、プログラムで動作を変えられる多関節の機械のこと。種類、使い方(ティーチング)、費用の考え方、主要メーカーと市場動向(IFR統計で世界500万台稼働)を解説する。

産業用ロボットとは、工場などで溶接・塗装・搬送・組立といった作業を自動で行う、プログラムによって動作を変えられる機械のことです。国際規格 ISO 8373 では「自動制御され、再プログラム可能で、3軸以上で動作する多目的マニピュレータ」と定義されており、決まった1つの動作しかできない専用機とは、この「教え直せる」点で区別されます。

産業用ロボットとは:主な種類

形状によっていくつかの型に分かれます。人の腕に近い関節を持つ「垂直多関節型」は、溶接や塗装など自由度の高い動きが必要な作業に使われます。水平方向の動きに強い「水平多関節型(SCARA)」は電子部品の組立など、高速の「パラレルリンク型」は食品や小物のピッキング、直線軸を組み合わせた「直交型」は単純な搬送に向きます。

これとは別に、安全柵なしで人の近くで作業することを想定した「協働ロボット」という分類もあります。従来型は人と作業エリアを分けて使うのが前提です。

使い方:ティーチングとシステム構築

産業用ロボットは、買ってきて置けば動くものではありません。動作を覚えさせる「ティーチング」が必要です。代表的な方法は、ティーチングペンダントと呼ばれる操作端末でアームを動かし、位置を1点ずつ記録するやり方です。PC上のシミュレーションで動作を作って流し込む「オフラインティーチング」もあります。

実際の現場では、ロボット本体に加えて、先端に付けるハンド(グリッパーや溶接トーチなど)、ワークの位置を認識するカメラ、周辺装置、安全柵やセンサーを組み合わせて1つの設備にします。この設計・組み上げを担うのが「システムインテグレータ(SIer)」で、導入の成否を大きく左右します。

料金:何にお金がかかるのか

本記事では具体的な価格は示しません。機種・可搬重量・用途によって幅が大きく、確かな相場を示せないためです。企画担当者が押さえておくべきなのは費用の内訳で、ロボット本体のほか、ハンドや周辺機器、システムインテグレーション(設計・ティーチング・立ち上げ)、安全対策、保守の費用がかかります。見積もりはロボット単体ではなく、設備全体で比較するのが実務上の基本です。

市場規模とメーカー:誰が作っているのか

国際ロボット連盟(IFR)によると、世界の工場で稼働する産業用ロボットは2025年に前年比9%増の500万台で、過去最高となりました。年間設置台数は11%増の60万台超です。国別では中国が世界の設置の59%を占め、米国が約3万8500台で2位、日本は19%減の3万6219台で3位に後退しました。IFRは2026年に65万5000台、2029年に80万6000台へ拡大すると予測しています。

主要メーカーとしては、日本のファナック、安川電機、欧州のABB、KUKAなどが挙げられます。安川電機の小笠原浩会長兼社長は対談で、中国がヒト型ロボットをスピードや制御ソフトの性能重視で開発しているとの見方を示し、「脅威を感じている」と述べたうえで、中国と正面から競わない方針を語っています。

今後:人型ロボットとフィジカルAI

従来の産業用ロボットは決められた動作を正確に繰り返す機械でしたが、AIで状況に応じて動く「フィジカルAI」や人型ロボットへの関心が高まっています。日経アジアの報道によると、トヨタ自動車は工場の作業者に人型ロボット「ELEY」を訓練させており、作業者がロボットの指を模した治具を着けて細かな手作業を教えているといいます。同社の中嶋裕樹副社長は、ロボットは人を置き換えるのではなく共存する存在だと強調しています。

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