用語解説 ナンド

NANDとは

NANDとは、電源を切ってもデータが消えないNAND型フラッシュメモリのこと。SSDやスマホの保存領域に使われている。NOR型との違い、SLC/TLC/QLCの違い、使うときの注意点、2026年の価格高騰、主要メーカーをまとめて解説する。

NANDとは、多くの場合「NAND型フラッシュメモリ」を指します。電源を切ってもデータが消えない半導体メモリです。SSD、スマートフォンのストレージ、USBメモリ、SDカードなどで、データを保存する部品として使われています。

論理回路の「NANDゲート(否定論理積)」も同じ名前です。フラッシュメモリの呼び名は、メモリセルを直列につなぐ構造がNANDゲートに似ていることから来ています。この記事ではフラッシュメモリのNANDを説明します。

NANDとは:NOR型との違いとSLC・TLC・QLC

NANDは、データの読み書きをページという単位で行い、消去はそれより大きいブロック単位でまとめて行います。セルを直列に並べるので密度を上げやすく、容量あたりの価格が安くなります。これに対してNOR型フラッシュは、好きな場所をすばやく読み出せるのが長所です。そのため、ルーターや車載機器で起動用のプログラムを置く用途に使われます。

1つのセルに何ビット記録するかで、SLC(1ビット)、MLC(2ビット)、TLC(3ビット)、QLC(4ビット)に分かれます。ビット数が多いほど容量あたりの価格は下がりますが、書き換えられる回数と速度では不利になります。SLCは容量あたりでは高価です。それでも耐久性と信頼性が高いので、産業機器や車載機器で使われています。現在は、セルを縦方向に積み重ねる3D NANDが主流です。

使い方:エンジニアが押さえるべき点

ふつうはNANDチップを直接扱いません。制御用のコントローラーを内蔵したSSD、eMMC、UFS、SDカードとして使います。コントローラーは主に次の処理を受け持ちます。

- 誤り訂正(ECC) - 書き込みを特定の場所に偏らせないウェアレベリング - 不良ブロックの管理 - 論理アドレスと実際の書き込み位置の対応付け(FTL)

組み込み機器に生のNANDチップを載せる場合は、これらの処理をソフトウェア側で用意する必要があります。LinuxではMTDサブシステムと、その上で動くUBI/UBIFSが代表的な選択肢です。書き換えられる回数には上限があるため、ログを頻繁に書き込む用途では寿命を見込んだ設計が欠かせません。

料金・価格:2026年に起きていること

NANDは需要と供給で価格が大きく動く市況商品です。単価は容量、世代、契約の形で変わるので、この記事では具体的な価格は載せません。

当サイトの記事によると、AIブームを受けてメモリの生産能力が収益性の高い製品に回されています。その影響で、ルーターや車載・産業機器に使われるNOR型フラッシュとSLC NANDは「深刻な供給不足」と指摘されています。これらの契約価格は2026年上半期に100%を超えて上がりました。SLC NANDは下半期にさらに120〜170%上がる見通しです。

影響は完成品にも出ています。調査会社Counterpoint Researchは、メモリーやチップセットの値上がりを主な理由に、200ドル未満のスマートフォンの出荷が2025年から2030年にかけて約40%減ると予測しました。

ここからは当サイトの見解です。機器の調達や更新を計画する企画・DX担当者は、ストレージ部品の値上がりと納期の長期化を前提に置いたほうが安全です。

誰が作っているか:主要メーカーと競合

NAND型フラッシュメモリは東芝(舛岡富士雄氏ら)が発明しました。主な生産者は次のとおりです。

- 韓国:Samsung Electronics、SK hynix(IntelのNAND事業を買収し、Solidigmとして運営) - 日本:キオクシア(旧東芝メモリ) - 米国:Sandisk(2025年にWestern Digitalから分離)、Micron Technology - 中国:YMTC(長江存儲)

キオクシアとSandiskは、日本の工場を共同で運営しています。各社は、何層まで積み重ねられるかと、1セルあたりのビット数を増やしてコストを下げる技術で競っています。投資の面では、各社の業績が市況の波に左右されやすい点に注意が必要です。AI向けの需要が生産能力の配分をどう変えるかが、当面の注目点です。

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