用語解説 ナンドフラッシュ

NANDフラッシュとは

NANDフラッシュは、電源を切ってもデータが消えない半導体メモリで、SSDやスマートフォンのストレージに使われます。仕組み、SLC〜QLCの違い、エンジニア向けの使い方、価格の動き、主要メーカーと新規参入の動きを解説します。

NANDフラッシュとは、電源を切ってもデータが消えない不揮発性の半導体メモリです。SSD、USBメモリ、スマートフォンのストレージに使われています。DRAMは作業中のデータを一時的に置くメモリで、NANDフラッシュはデータを保存するストレージです。

NANDフラッシュとは:仕組みと特徴

NANDフラッシュは、メモリセルを直列につなぐ構造(NAND型)です。この構造で1ビットあたりの面積を小さくし、大容量と低コストを実現しています。1980年代に東芝の舛岡富士雄氏らが発明しました。同じフラッシュメモリのNOR型は、ランダム読み出しが速い一方で大容量化には向きません。NAND型はその逆です。

NANDには固有の制約が3つあります。1つ目に、書き込みは「ページ」単位、消去はより大きな「ブロック」単位でしか行えません。2つ目に、上書きができないため、消去してから書き直す必要があります。3つ目に、書き換えられる回数に寿命があります。

1つのセルに記録するビット数で、SLC(1ビット)、MLC(2ビット)、TLC(3ビット)、QLC(4ビット)に分かれます。ビット数が多いほど大容量で安くなりますが、書き込み速度と耐久性は下がります。現在はセルを縦方向に積み上げる3D NANDが主流です。

使い方:エンジニアが押さえる点

NANDを直接扱うことは少なく、多くはコントローラを内蔵した製品として使います。PCやサーバーではSSD(NVMe/SATA)、組み込み機器ではeMMCやUFSです。内蔵コントローラは次の処理を肩代わりします。

- ウェアレベリング(書き込みを分散させて寿命を延ばす) - 不良ブロックの管理 - 誤り訂正(ECC) - 論理アドレスと物理位置の変換(FTL)

組み込み機器で生のNANDチップを使う場合は、これらの処理をソフトウェア側で担う必要があります。Linuxでは、MTDサブシステムやUBIFSのようなフラッシュ向けの仕組みを使うのが一般的です。ログやデータベースなど書き込みが多い用途では、SLC〜QLCのどれかと、TBWなどの耐久性指標を確認して選びます。

何に使えるのか:用途

スマートフォン、PC、SDカードといった民生品から、データセンターのサーバー用SSDまで幅広く使われています。当サイトが報じた記事によると、足元ではAIサーバー向けのメモリ需要が逼迫しており、その中にNANDも含まれています。

料金:価格は需給で大きく動く

NANDフラッシュは汎用品として市場で取引されるため、決まった定価はありません。当サイトの記事によると、2026年7月の世界半導体販売額(業界団体WSTS集計)は前年同月比135.1%増でした。主な要因は、DRAMとNANDフラッシュの容量当たり単価が1年で約7倍に上がったことです。SSDなどを調達する企業は、見積もりの時期によって価格が大きく変わる前提で計画を立てる必要があります。

メーカーと競合:誰が作っているのか

主要メーカーは、Samsung Electronics、SK hynix、キオクシア、Micron Technology、Western Digitalから分離したSanDisk、中国のYMTCなどです。

新規参入の動きもあります。Reutersの報道では、中国最大のDRAMメーカーCXMT(ChangXin Memory Technologies)が北京の新工場にNANDの研究開発ラインを構築し、研究所も設立したとされます。中国のスタートアップとNANDチップの採用も協議しているといいます。ただし、これは報道の段階で、会社からの正式発表ではありません。

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