用語解説 はっぴゃくボルトディーシー

800VDCとは

800VDCは、AIデータセンターで電力を800ボルトの直流で配る配電方式。InfineonとEatonのSiC固体変圧器での提携や、三菱電機のNVIDIA向けリファレンスデザインなど関連する動きと、料金や仕様のように現時点で分かっていない点を整理する。

800VDCとは

800VDCとは、データセンターの中で電力を800ボルトの直流(DC)で配る配電アーキテクチャです。当サイトの記事では、NVIDIAの「Vera Rubin NVL72」のように消費電力の大きいAIサーバーを収容する、次世代AIデータセンター向けの構成として扱われています。

800VDCは特定の製品名ではありません。受電から、ラックに電力を届けるまでの設計の考え方を指します。英Data Center Dynamics(DCD)も、AIインフラ向けの800VDC配電アーキテクチャをテーマにしたホワイトペーパーを掲載しています。ただし、執筆元、具体的な構成、効果の数値は明らかになっていません。

ここからは物理法則に基づく一般論で、参考資料に数値の裏付けはありません。同じ電力を送るなら、電圧を上げるほど電流は小さくなります。電流が小さければ、ケーブルを細くでき、発熱による損失も抑えられます。1ラックあたりの電力が大きくなるAIデータセンターで高電圧の直流が検討されるのは、これが主な理由だと考えられます。

使い方:どう組み込むのか

800VDCは、ソフトウェアやクラウドサービスのように契約してすぐ使えるものではありません。建屋の電力設計そのものに組み込みます。

参考になるのが、三菱電機の米国子会社Mitsubishi Electric Power Products(MEPPI)が公開した「Chip-to-Grid DSXリファレンスデザイン」です。電力系統との接続、オンサイトの発電・蓄電、800VDC配電、液冷、排熱までを一体で設計しています。つまり800VDCは単独で導入するものではなく、冷却や電源確保とセットで設計するものだと読み取れます。

設備側の部品としては、SiC(炭化ケイ素)を使った固体変圧器(ソリッドステートトランス)が挙がっています。InfineonとEatonはこの固体変圧器で提携し、800VDC給電を支える狙いだと報じられました。ただし、製品の仕様、提供時期、両社の役割分担は確認できていません。

料金・導入コスト

800VDCの料金や導入費用について、当サイトは公表された数値を確認できていません。800VDCはサービスではなく設計方式なので、決まった「料金表」もありません。費用は施設の規模、既存設備を改修するのか新設するのか、採用する機器によって大きく変わるはずです(推測)。

企画・DXの担当者が検討するなら、800VDCを単体で見積もるのは難しいでしょう。電力と冷却を含めたデータセンター全体の設計として、ベンダーに問い合わせることになります。

誰が作っているのか:関連企業

当サイトの記事で確認できる関連企業は次のとおりです。

- Infineon:SiC固体変圧器でEatonと提携(半導体) - Eaton:同上(電源・電力機器) - 三菱電機(MEPPI):電力と冷却を一括設計するリファレンスデザインを公開 - NVIDIA:上記リファレンスデザインが対応先とするAIサーバー「Vera Rubin NVL72」の提供元

これらの企業は、半導体、電力機器、設計、計算機と、それぞれ別の層を担っています。同じ層で競合するのがどの企業で、どれほどのシェアを持つのかは、手元の資料からは判断できません。投資の観点では、今後出てくる製品仕様や採用事例を追う必要があります。

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