用語解説 まえこうてい

前工程とは

前工程とは、半導体製造でシリコンウエハー上に回路をつくり込む工程のこと。チップを切り出して組み立てる「後工程」と対になる。主な工程、使われる装置、主要企業、費用の考え方、インドでの新工場など最近の動きを整理した。

前工程とは、半導体製造のうち、シリコンウエハーの上にトランジスタや配線などの回路をつくり込む工程のことです。ウエハーからチップを切り出し、パッケージに組み立てて検査する「後工程」と対になる言葉です。

製造業全般では、単に「ある作業より前の工程」という意味でも使います。ただし、IT・半導体の文脈で「前工程」と言えば、ほぼ上記のウエハー加工を指します。この記事もその意味で説明します。

前工程とは:ウエハー上で何をしているのか

前工程では、ほぼ同じ一連の処理を何度も繰り返して、回路を層ごとに積み上げていきます。代表的な処理は次のとおりです。

- 成膜:ウエハー表面に絶縁膜や金属膜を形成する - リソグラフィ(露光):感光材を塗り、回路パターンを光で焼き付ける - エッチング:パターンに沿って不要な膜を削る - イオン注入:不純物を打ち込み、トランジスタの電気特性をつくる - CMP(化学機械研磨):表面を平らにして次の層に備える - 洗浄・検査:各工程の合間に異物を除き、欠陥がないか確かめる

前工程はさらに、トランジスタをつくる部分(FEOL)と、その上に配線を重ねる部分(BEOL)に分けて呼ばれることがあります。微細化の性能を左右するのは主にこの前工程です。

使い方:エンジニアや企画担当はどう関わるか

前工程は製品やサービスではないため、一般のユーザーが「使う」ものではありません。関わり方は立場によって次のように分かれます。

エンジニアとして関わる場合は、プロセス開発、製造装置の制御ソフト、歩留まり解析、検査データの分析などが主な仕事になります。工程の数が多く、膨大なデータが出るため、データ分析やAIを活用する余地が大きい分野です。

事業会社の企画やDX担当にとっては、主に調達とサプライチェーンの問題になります。自社製品に使うチップが、どの国のどの工場で前工程を経ているかによって、供給リスクや地政学リスクが変わるためです。

料金:いくらかかるのか

前工程には決まった「料金」がありません。費用はファウンドリ(製造受託企業)との個別契約で決まり、プロセス世代、ウエハー枚数、設計の複雑さによって大きく変わります。公開された価格表もないため、この記事では具体的な金額は示しません。

参考になる数字として、当サイトの報道では、富士フイルムがインドで約80億ルピー(約130億円)を段階的に投じ、半導体材料の工場を新設すると伝えています。これは前工程そのものではなく、それを支える材料工場への投資額です。

誰が担っているのか:主要企業と最近の動き

前工程に関わる企業は、大きく3つに分かれます。

- 製造:TSMC、Samsung Electronics、Intel などのファウンドリやメーカー - 装置:ASML(露光)、Applied Materials、Lam Research、東京エレクトロン、KLA(検査)など - 材料:ウエハー、薬液、フォトレジストなどのメーカー。富士フイルムもその一社です

最近の動きとして、富士フイルムは9月17日、インドのTata Electronicsと提携を強化する基本合意書(MOU)を結んだと発表しました。グジャラート州ドレラで、タタが建設中の「インド初の前工程工場」の近くに材料工場を建てる計画です。前工程の工場ができると、材料メーカーもその周辺に集まるという構図がよく分かる事例です。

また、EE Times Japanは、前工程から先端パッケージングまで、生産拠点に新たな動きがあると報じています。微細化の競争に加えて、後工程の先端パッケージングでも拠点づくりが進んでいる点が、投資家にとっての注目点です。

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