ロボタクシーとは
ロボタクシーとは、運転席に人間のドライバーがおらず、自動運転システム(ADS)が運転のすべてを担う配車サービスです。利用者はスマートフォンのアプリで車を呼び、無人の車両に乗って目的地まで移動します。
技術的には、決められた地域の中ではシステムが運転を完結させる、SAEの自動運転レベル4に当たるものが中心です。運転者を補助する「運転支援」とは違い、事故が起きたときの運転責任はシステム側(事業者)にあります。ここが根本的な違いです。
使い方:何ができるのか
使い方は一般的な配車アプリとほぼ同じです。アプリで乗車地と目的地を指定して車を呼び、到着した車両にアプリで解錠して乗り込みます。走れるのは、事業者が地図を整備し、当局の許可を得た「運行エリア」の中だけです。エリアの外へは行けません。この点が人間のタクシーとの大きな違いです。
エンジニアの目で見ると、ロボタクシーはセンサー(カメラ、LiDAR、レーダーなど)、認識・判断を行うソフトウェア、遠隔支援の体制、車両を管理する仕組みを合わせたシステムです。車そのものより、運行全体を担うサービス基盤として捉えると分かりやすくなります。
料金と事業での使いどころ
料金は事業者・都市ごとに異なり、固定された相場はありません。この記事では具体的な金額は書きません。最新の料金は各社のアプリや公式情報で確認してください。
料金まわりの動きとして、米Waymoは9月22日、公共交通と組み合わせて使う人に特典を与えるプログラムを発表しました。Visaカードで公共交通に乗ると、アプリ内で使える乗車クレジット「Waymo Cash」がもらえます。まずサンフランシスコ・ベイエリアの従業員向けに始め、一般利用者や他都市へ広げる計画です。背景には、利用者の半数以上が公共交通も使っているという事情があります。ロボタクシーを公共交通と競わせるのではなく、駅から先の移動をつなぐ手段として位置づける動きと読めます。
企画・DXの立場からは、公共交通との連携、自社施設への送迎、決済・ポイントとの組み合わせなどが検討しやすい切り口です。ただし、どれが採算に合うかは運行エリアと料金次第です。ここは筆者の見立てです。
誰が作っているのか・競合
代表的な事業者は、Alphabet(Googleの親会社)傘下のWaymoです。ほかに、Amazon傘下のZoox、中国の百度(Baidu)の「Apollo Go」、Pony.ai、WeRideなどが開発・運行を進めています。テスラも参入しています。一方、GM傘下のCruiseはロボタクシー事業から撤退しました。資金力のある大手でも途中で撤退することがある分野です。
投資家の目で見る比較ポイントは、運行している都市とエリアの広さ、完全無人で走っているかどうか、規制当局との関係の3つです。
安全基準と規制の動き
ロボタクシーの課題は、「十分に安全」かどうかを判定する共通の物差しがないことです。人間には運転免許試験がありますが、自動運転システムの実際の走行性能を判定する標準化された試験は存在しません。これまでは、事実上、業界側が安全性を自ら説明してきました。
これに対し米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、SAEとの合意にもとづき、データを使って自動運転の性能基準を作る官民の取り組み「ASCEND」を立ち上げました。最優先で扱うのはADSの運転能力です。この基準がどうまとまるかは、各社の事業拡大のペースを左右する要素になります。

