300mmウエハーとは、直径300mm(約12インチ)の円盤状の半導体基板です。この上に回路を形成し、1枚から多数のチップを切り出して半導体を作ります。現在、先端のロジック半導体とメモリの量産工場ではこの口径が主流です。
300mmウエハーとは:200mmとの違い
ウエハーの面積は直径の2乗に比例します。そのため300mmウエハーの面積は200mmの約2.25倍になります。1枚から取れるチップが増え、1回の工程でまとめて処理できる数も多くなるので、チップ1個あたりのコストを下げられます。これがウエハーを大口径化する狙いです。
一方で、露光・成膜・搬送などの装置は口径ごとに専用です。200mmラインの装置をそのまま300mmに転用することはできないため、300mm化には工場単位の投資が必要になります。300mmのラインでは、密閉型の搬送容器(FOUP)を使った自動搬送が前提になっています。次の口径として450mmの開発も進められましたが、量産には至っていません。
何に使うのか:パワー半導体にも広がる300mm化
300mmウエハーの主な材料はシリコンの単結晶です。これまで300mmは先端品が中心で、パワー半導体やアナログ半導体は200mm以下で作られることが多くありました。この領域でも300mmへ移す動きが出ています。
当サイトで取り上げた例では、Infineonが窒化ガリウム(GaN)パワー半導体を300mmウエハーで量産する施設を新設すると報じられました。同社はこれを「世界初」としています。GaNは高効率な電源に使われる材料です。建設地、稼働時期、投資額は確認できていません。
使い方:エンジニアや企画担当はどう関わるか
半導体メーカー以外の企業がウエハーそのものを購入して使う場面は、ほとんどありません。自社向けのチップが必要なら、ファウンドリ(製造受託企業)に製造を委託します。ファウンドリは自社の300mmラインなどで製造します。
設計者や企画担当が確認すべきなのは、使いたいプロセスがどの口径のラインで提供されているかです。口径によって、量産時のチップ単価や供給量の見通しが変わります。
料金:300mmウエハーの価格はいくらか
一般向けの定価はありません。素材としてのウエハーの価格は、ウエハーメーカーと半導体メーカーの契約で決まり、公開されていないため、この記事では具体的な金額を示しません。
ファウンドリに支払う製造費は、プロセスの世代や工程数によって大きく変わります。コストを比較するときは、ウエハー1枚の価格よりも、良品チップ1個あたりのコストで見るのが実務的です。
誰が作っているか:ウエハーメーカーと新工場の動き
素材としての300mmシリコンウエハーは、主に信越化学工業、SUMCO、GlobalWafers(台湾)、Siltronic(ドイツ)、SK Siltron(韓国)が供給しています。日本の2社が上位を占めています。
ウエハーを使う工場の側では、NXPとVISの合弁会社VSMCがシンガポールで300mmウエハーの新工場を開所したと報じられました。生産能力、対応プロセス、量産開始の時期、投資額は確認できていません。
以下は筆者の見立てです。投資家にとっては、パワー半導体や成熟プロセスまで300mm化がどこまで進むかが、装置メーカーと素材メーカーの需要を左右する論点になります。


