用語解説 ろこうそうち

露光装置とは

露光装置とは、半導体ウエハーなどに回路パターンを光で焼き付ける製造装置です。仕組み、工場での使われ方、価格の考え方を解説します。ASML・ニコン・キヤノンの競合関係と、キヤノンのNIL、ニコンのデジタル露光の最新動向もまとめました。

露光装置とは、半導体ウエハーやディスプレイ用のガラス基板の上に、回路パターンを光で焼き付ける製造装置です。回路の原版であるフォトマスクの模様をレンズで縮小し、感光材(レジスト)に写し取ります。半導体をどこまで細かく作れるかを決める中核の装置です。

露光装置とは:何をする装置か

半導体の製造では、次の流れを何十回も繰り返します。ウエハーにレジストを塗る、露光する、現像する、できた模様に沿って削ったり材料を埋めたりする。露光装置はこのうち「露光」を担当します。性能の中心は2つです。どれだけ細い線を描けるか(解像度)と、前の層の上にどれだけ正確に重ねられるか(重ね合わせ精度)です。

解像度を大きく左右するのは光源の波長です。光源は世代ごとに短波長化してきました。水銀ランプのi線から始まり、KrF・ArFのエキシマレーザー、レンズとウエハーの間を水で満たすArF液浸と進み、現在の最先端は波長13.5nmのEUV(極端紫外線)です。焼き付けの方式にも違いがあります。ウエハーを一区画ずつ止めて焼くのがステッパー、マスクとウエハーを同時に動かしながら走査して焼くのがスキャナーです。

使い方:誰がどう使うのか

露光装置は、個人や一般の企業が買って使う機械ではありません。半導体メーカーや電子部品メーカーの工場(クリーンルーム)に置かれ、レジストを塗る装置や現像する装置とつながって、量産ラインの一部として動きます。エンジニアが関わるのは主に工程管理です。露光量や焦点などの条件(レシピ)を決める、マスクを管理する、重ね合わせのずれを測って補正する、といった作業がこれにあたります。

事業会社の企画・DX担当の立場では、自社で露光装置を持つことはまずありません。ファウンドリ(受託製造)や試作サービスを使ってチップを作るのが現実的です。ただし、AI向けのチップやメモリをどれだけ作れるかは露光装置の供給に左右されます。部品の調達リスクを読む材料として知っておく価値があります。

料金:いくらするのか

露光装置には公開された定価がなく、価格は個別の商談で決まります。このため本記事では具体的な金額は示しません。一般に、光源の波長が短い新しい世代ほど高額になり、EUV装置はその頂点にあたります。導入には装置本体の代金だけでなく、クリーンルームへの設置や保守の費用もかかります。

メーカーと競合:誰が作っているのか

主なメーカーは、オランダのASML、日本のニコンとキヤノンの3社です。EUV露光装置を量産出荷しているのはASMLだけで、最先端の半導体向けでは同社が優位に立っています。ニコンとキヤノンは、ArFやKrF、i線などの世代の装置で事業を続けています。

当サイトの報道からは、日本の2社がそれぞれ別の方式で差別化を図っている様子が読み取れます。

キヤノンについては、2026年第3四半期の決算でメモリ向けの装置が好調だったとEE Times Japanが報じました。同社が開発するナノインプリントリソグラフィ(NIL)の検証も進んでいるとのことです。NILは、光で焼き付けるのではなく、型をスタンプのように押し当てて模様を写す方式です。ただし、売上高や受注台数、検証の相手先や進み具合は確認できていません。

ニコンについては、解像度0.5μmのデジタル露光装置を開発すると報じられています。デジタル露光は、フォトマスクを使わずにデータから直接模様を描く方式とみられます。どの用途向けか、いつ出荷されるか、価格はいくらかは分かっていません。

投資の観点で整理すると、構図は次のとおりです。ASMLは光学式の露光を短波長化する方向で先頭を走っています。日本勢はNILやマスクを使わない方式といった別の技術に力を入れています。なお、この整理は報道をもとにした筆者の見立てです。

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