用語解説 ワークロードシフト

ワークロードシフトとは

ワークロードシフトとは、AIの推論や学習などの計算処理を、電力の状況に合わせて別のデータセンターで実行する手法。NTTドコモビジネスなど5社が、IOWN系回線で三鷹・札幌・広島などを結ぶ実証を2026年8月に始めた。仕組み、使い方、料金の現状を解説する。

ワークロードシフトとは、サーバーで動かす計算処理(ワークロード)を、電力の状況に合わせて別の拠点のデータセンターへ移して実行する手法です。製品名ではなく考え方の名前です。日本では、AIの推論・学習をデータセンター間で振り分ける「ワット・ビット連携」の実証で、この手法が試されています。

ワークロードシフトとは:計算を電力に合わせる

これまでは、処理を担当するデータセンターで、その拠点の電力を使って計算するのが基本でした。ワークロードシフトは考え方が逆です。電力を確保しやすい拠点を選び、処理そのものをそこへ移します。AIの学習や推論は電力を大量に使うため、電力の制約に対応する方法として注目されています。

何ができるのか:国内の実証例

具体的な例があります。NTTドコモビジネス、中国電力、NTTアノードエナジー、エネコム、北海道総合通信網(HOTnet)の5社が、2026年8月に実証を始めました。総務省の令和8年度「ワット・ビット連携関連実証」に採択された事業で、期間は2027年2月までです。

この実証では、IOWN(NTTが進める光ベースの次世代通信基盤)を使う「docomo business APN Plus」で、三鷹・札幌・広島などのデータセンターを結びます。そのうえで、電力の状況に応じてAIの推論・学習を拠点間で振り分けます。

エンジニアの目で見ると、鍵は拠点間ネットワークです。処理を移すにはモデルやデータの転送が必要になり、離れたデータセンター同士を速く、大容量でつなぐ回線が欠かせません。IOWN系の回線を使うのはこのためだと筆者は見ています。ただし、これは公表情報で確かめた事実ではなく推測です。

使い方:一般利用はまだ先

ワークロードシフトを誰でも申し込める商用サービスとして提供している、という情報は当サイトでは確認できていません。上記の取り組みは実証の段階です。処理をどの単位で移すのか、何を基準に移し先を決めるのかといった仕組みの詳細も、当サイトの記事の範囲では分かっていません。

企画・DX担当者にとっては、大量のAI学習・推論を抱えていて、電力の確保やコストが課題になっている場合に検討する価値があると考えられます。ただし、実用化の時期は発表されていません。

料金

料金は公表されていません。ワークロードシフトは手法の名前なので、それ自体に定価はありません。実際に使う場合は、データセンターの利用料や拠点間ネットワーク(今回の実証ではAPN Plus)の費用がかかると考えられます。ただし、当サイトではこれらの価格を確認していません。

誰が作っているのか・競合

国内の実証を担うのは5社です。通信系がNTTドコモビジネス、エネコム、HOTnet、電力・エネルギー系が中国電力とNTTアノードエナジーです。投資家の視点で見ると、この5社の特徴は、通信回線・データセンター・電力の3つを1つの実証でまとめて扱っている点です。

同じような取り組みを進める他社や海外の競合については、当サイトではまだ報じていません。そのため、ここでは比較を控えます。

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