従量課金とは、サービスを使った量に応じて料金が決まる課金方式です。生成AIのAPIなら処理したトークン数、クラウドならサーバーの稼働時間やデータ転送量というように、実際の利用量に単価を掛けた額が請求されます。
従量課金とは:定額制との違い
定額制は、使っても使わなくても毎月同じ額を払う方式です。従量課金は使った分だけ払うので、利用が少なければ安く済み、試験導入の初期費用も抑えられます。
その代わり、利用量が増えるとそのまま請求額が増えます。上限が決まっていないため、予算の見通しが立てにくい点が最大の弱点です。
使い方:AIのAPIやクラウドでは何を数えるか
エンジニアがよく触れるのは、生成AIのAPIとクラウド基盤の課金です。OpenAI、Anthropic、Google などの生成AIのAPIは、トークン(文章を細かく区切った処理単位)の数で課金します。主要サービスの多くは、入力(送った文章)と出力(生成された文章)で単価が違います。AWS、Microsoft Azure、Google Cloud といったクラウド基盤では、計算資源の稼働時間、ストレージの容量、通信量などが課金の対象です。
実装するときは、1回のリクエストで消費する量を測り、そこから月の利用量を見積もるのが基本です。会話の履歴を毎回まとめて送る作りにすると、入力トークンが回を重ねるごとに増えます。多くのサービスには利用上限や予算アラートを設定する機能があるので、本番に出す前に設定しておくべきです。
料金:どう決まり、どこで膨らむか
料金は「単価×利用量」で決まります。単価はサービスやモデルによって違い、改定もされるため、この記事では具体的な金額は載せません。必ず各社の公式の料金ページで確認してください。
企画・DXの担当者が注意したいのは、利用者数と請求額が連動することです。社内で使う範囲なら見積もりやすいですが、不特定多数に公開する機能では、利用が想定を超えた瞬間にコストも跳ね上がります。
事例:コストが膨らんだとき、企業はどうしたか
Tom's Hardware の報道によると、Steamで無料配信されたゲームのデモで、AIの利用料が1日あたり1000ドルに達しました。開発者は銀行から融資を受けて対応したといいます。このゲームは、プレイヤーの声をAIで処理して応答を作る仕組みでした。無料で配る製品に従量課金のAIを組み込むと、遊ぶ人が増えるほど赤字が膨らみます。スタジオは、手元のハードウェアで動くモデルへの移行を検討しているとのことです。
GIGAZINE の報道では、ある銀行系企業が、商用のAIサービスから自社で運用するモデルに切り替え、AIの利用コストを約10分の1に減らしました。この企業はRevolutとみられています。
誰が提供しているか・代わりの選択肢
従量課金は特定の企業の製品ではなく、課金の方式です。上で挙げた生成AIのAPIやクラウド基盤の各社が、標準の料金体系として採用しています。
代わりの選択肢として、2つの事例に共通するのは「自社や手元の環境でモデルを動かす」ことでした。この場合、支払いは利用量に応じた課金から、ハードウェアや運用にかかる固定費に変わります。ただし、どの規模から自社運用のほうが得になるかは、利用量や運用体制によって変わります。今回の事例だけで一般化はできません(これは筆者の見立てです)。

