セルフホステッド(self-hosted)とは、ソフトウェアを提供元のクラウドではなく、自社で管理するサーバーや環境に置いて動かす提供形態のことです。提供元が運用するサービスにネット経由でログインして使う SaaS(クラウド版)と対になる言葉で、1 つの製品に両方の形態が用意されていることもあります。
セルフホステッドとは:クラウド版との違い
一番の違いは、サーバーを誰が持ち、誰が運用するかです。置き場所には、自社のデータセンター(オンプレミス)、自社で契約したクラウド上の環境、ソブリンクラウド(特定の国や地域の法律と管理の下で運用されるクラウド)などがあります。データを提供元のサーバーに送らない構成を取れます。その代わり、アップデート、バックアップ、障害対応、セキュリティパッチの適用は自社で行うことになります。
セルフホステッドは特定の会社の製品名ではなく、提供形態を表す一般的な言葉です。最近の例では、IBM が「IBM Bob」のセルフホステッド型を発表しました。当サイトで確認できている範囲では、オンプレミスやソブリンクラウドで運用でき、企業の AI 主権とガバナンスの強化を支援するとされています。提供時期、価格、クラウド版との機能の違いはまだ分かっていません。競合としては、同じ会社のクラウド版、他社のクラウドサービス、自分のサーバーに入れて使う形で配布されているオープンソースソフトウェアが考えられます。
使い方:導入の基本的な流れ
具体的な手順は製品によって違いますが、一般的には次の順で進めます。まず CPU、メモリ、ストレージ、対応 OS などの動作要件を確認します。次に提供元が配布するインストーラやコンテナイメージを入手し、自社の環境に展開します。そのうえで社内の認証基盤、ネットワーク、既存のシステムとつなぎます。最後に監視、バックアップ、バージョンアップのやり方を決めてから運用を始めます。
AI 製品でモデルを自社の環境で動かす場合は、GPU などの計算資源を自社で用意する必要が出ることがあります。必要な規模は製品とモデルによって変わるため、導入前に要件を確認してください。
何に使えるのか:向いているケース
向いているのは、顧客情報や設計情報のように社外のクラウドに出せないデータを扱う業務です。社内規程や業界の規制で外部の SaaS を使えない組織や、インターネットから切り離した閉域網でシステムを動かす組織も対象になります。IBM Bob のセルフホステッド型は、データを外部のクラウドに出せない組織でも使えるようにすることが狙いとみられます(これは当サイトの推測です)。
反対に、運用を担当する人がいない場合や、まず小さく試したい場合は、クラウド版のほうが早く使い始められます。
料金:何にお金がかかるのか
セルフホステッドの費用は大きく 3 つに分かれます。1 つ目はソフトウェアのライセンス料とサポート契約で、課金の単位(ユーザー数、サーバー台数、年額契約など)は製品によって違います。2 つ目はサーバー、GPU、ストレージ、電気代、クラウド利用料などのインフラ費です。3 つ目は運用を担当する人の人件費です。
クラウド版の月額料金とライセンス料だけを比べると判断を誤ります。インフラ費と運用の手間まで含めた総額で比べるのが基本です。IBM Bob のセルフホステッド型の価格は、まだ公表された情報を確認できていません。

