Gemini Enterpriseは、Google Cloudが企業向けに提供するAIエージェント基盤です。社員はチャット画面から、社内データの検索・要約や、業務を代わりに行うAIエージェントの作成・実行ができます。
Gemini Enterpriseとは
Gemini Enterpriseは2025年10月にGoogleが発表しました。それまでの企業向け製品「Google Agentspace」の後継にあたります。主な機能は次の3つです。GoogleのAIモデル「Gemini」と対話するチャット画面、社内の複数のシステムをまとめて検索する機能、業務を任せるAIエージェントを作って動かす環境です。
一般向けの対話AIとの一番の違いは、社内データにつないで使うことを前提に設計されている点です。質問への回答だけでなく、社内の資料や業務システムを参照して作業を進めることを目指しています。
何ができるのか・使い方
発表時の説明では、Google Workspaceのほか、Microsoft 365、Salesforce、SAPなど他社サービスのデータにも「コネクタ」で接続できます。管理者が接続先とアクセス権限を設定すると、社員は権限の範囲内で、各システムのデータをまとめて検索・要約できます。
エージェントの用意の仕方は2通りあります。1つは、Google製のエージェント(調査レポートを作るDeep Researchなど)を使う方法です。もう1つは、プログラミング不要のツール「Agent Designer」で、自社の業務に合わせたエージェントを作る方法です。企画・DX部門が現場の定型業務をエージェントに任せる、というのが主な使い方になります。
他社との連携も広がっています。SalesforceとGoogle Cloudは「Dreamforce 2026」で提携の拡大を発表しました。Salesforceのヘッドレスアーキテクチャと Gemini Enterprise をつなぎ、両社のAIエージェントが、個別の連携開発をしなくても同じデータを使って推論できるようにする内容です。
導入事例:損保ジャパンが約2万人に展開
ITmedia エンタープライズによると、損保ジャパンはGemini Enterpriseを従業員約2万人に展開しました。この記事は、標準機能だけでは足りない部分を同社がどう補っているかを取り上げています。ただし当サイトで確認できたのは見出しだけで、補っている制約の中身や具体的な活用例は確認できていません。大規模に導入する場合は、標準機能だけで済むとは限らないことを示す事例といえます。
料金
発表時点(2025年10月)の米ドル価格は、大企業向けのGemini Enterpriseが1ユーザーあたり月額30ドル、中小規模向けのGemini Businessが月額21ドルです。現在の価格、円での価格、契約条件(年間契約の有無など)はこの記事では確認できていません。導入を検討する場合は、Google Cloudの公式ページか販売代理店で最新の条件を確認してください。
誰が作っていて、競合は何か
開発・提供しているのは、Alphabet傘下のGoogle Cloudです。以下は当サイトの見立てです。競合にあたるのは、MicrosoftのMicrosoft 365 Copilot、OpenAIのChatGPT Enterprise、AnthropicのClaudeの企業向けプランなど、社内データとつないで使う業務向けAIです。Microsoft 365 Copilotが自社のOffice製品との一体化を強みにしているのに対し、Gemini Enterpriseは他社システムにもつながる「入口」を目指していると読めます。Salesforceとの提携拡大は、その戦略に沿った動きとみられます。

