EUV露光装置とは、波長13.5nmの極端紫外線(EUV)を使い、半導体の回路パターンをシリコンウェハに焼き付ける製造装置です。先端ロジック半導体や先端DRAMの量産に使われ、従来のArF液浸露光(波長193nm)より細かいパターンを一度の露光で形成できます。
EUV露光装置とは:何ができるのか
露光は、ウェハに塗った感光材(レジスト)に回路の像を転写する工程です。波長が短いほど細かい線を描けるため、EUVは微細化の中心技術になりました。
ArF液浸でも、複数回の露光を組み合わせるマルチパターニングで微細化はできます。ただし工程数が増え、位置合わせも難しくなります。EUVはこの工程を減らせることが利点です。
EUV光はほとんどの物質に吸収されるため、レンズも通常の透過型マスクも使えません。装置は内部を真空に保ち、多層膜ミラーと反射型マスクで光を導きます。光源では、スズの微小な液滴にレーザーを当ててプラズマ化し、EUV光を取り出します。
使い方:誰がどう使うのか
EUV露光装置を直接操作するのは、半導体工場のプロセスエンジニアです。チップ設計者やソフトウェアエンジニアが触ることはありません。
設計者が恩恵を受ける場面は、ファウンドリの先端プロセスを選んで製造を委託するときです。設計ルールの範囲内で設計すれば、EUVの工程はファウンドリ側が担います。事業会社の場合も、自社で導入するのではなく、先端プロセスで作られたチップを製品やサービスを通じて使う形になります。
現場の主な課題は、光源の出力による生産性、微細なパターンで起きる確率的な欠陥、マスクの欠陥管理などです。
料金:いくらかかるのか
EUV露光装置に一般向けの料金表はなく、クラウドのように従量課金で使えるサービスでもありません。価格は個別の商談で決まるため、この記事では具体的な金額を示しません。
導入できるのは、先端半導体を量産する大規模な工場に事実上限られます。費用を考えるときは装置本体だけでなく、クリーンルームなどの工場設備、保守、レジストやマスクといった材料も含める必要があります。
誰が作っているのか:メーカーと競合
量産用のEUV露光装置を供給しているのはオランダのASMLで、現時点で同等の装置を量産供給する競合はありません。露光装置大手のニコンとキヤノンは、ArF以前の世代の露光装置やナノインプリントなど別の領域で事業を展開しています。
当サイトの記事では、次の2つの動きを取り上げました。
1つ目は新規需要です。Tom's Hardwareは、イーロン・マスク氏が進める半導体工場「Terafab」がASMLから最初のEUV露光装置を2027年半ばに受け取る見通しだと報じました。実験的な施設の完成を待つ間、装置がしばらく稼働しない可能性もあるといいます。導入台数や工場の稼働計画は分かっていません。
2つ目は中国の開発です。同誌の見出しなどによれば、中国のスタートアップがEUV光源の試作機をデモしました。出力は15W、部品の90%が国産で、実用化にはなお数年かかる見通しです。企業名や技術方式の詳細は確認できていません。
ここからは筆者の見方です。この試作機は光源であり、露光装置全体ではありません。量産にはミラーやマスク、ウェハを動かすステージなども必要なので、ASMLの競合が現れたと判断するのは早いと考えます。

