用語解説 ティーエスエムシー

TSMCとは

TSMCは、他社が設計した半導体チップを受託製造する台湾の企業。NVIDIAなどのAIチップを製造し、先端パッケージング「CoWoS」も手がける。直接申し込んで使うサービスではなく、料金は非公開。CoWoSの値上げ報道や競合のIntelも解説。

TSMC(台湾積体電路製造、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)は、他社が設計した半導体チップを受託製造する台湾の企業です。自社ブランドのチップは販売せず、製造だけを引き受ける「ファウンドリ」と呼ばれる業態の代表格です。

TSMCとは:チップを設計せず、製造を担う会社

半導体企業には、設計から製造まで自社で行う企業と、設計だけを行って製造を外部に任せる企業があります。TSMCは、後者から製造を引き受ける側の会社です。

当サイトで取り上げた報道では、NVIDIAのGPU「Blackwell」と「Rubin」の需要によって、TSMCのパッケージング能力が逼迫しているとされています。最先端のAI向けチップがTSMCの工場で作られていることが分かります。

TSMCの仕事は、ウェハー上に回路を作る工程だけではありません。「CoWoS」は複数のチップを1つのパッケージにまとめる先端パッケージング技術で、AI向けの大型チップに使われています。現在、このCoWoSの供給能力が業界全体のボトルネックになっています。

使い方:個人や一般企業が直接使うものではない

TSMCは、クラウドサービスのように申し込んで使うものではありません。顧客はチップを自社で設計する半導体企業や大手テック企業です。顧客は設計データをTSMCに渡し、TSMCの製造プロセスでチップを作ってもらいます。

エンジニアがTSMCと接点を持つのは、チップ設計の段階です。どの製造プロセスを選ぶかによって、設計ルールや、性能・消費電力の前提が変わります。ソフトウェアやAIを開発するエンジニアは、TSMCを直接使うことはありません。TSMCが製造したGPUやプロセッサを通じて、間接的に利用しています。

事業会社の企画・DX担当者も、TSMCと直接取引する場面はほとんどありません。影響を受けるのは、AIサーバーやGPUの調達価格と納期です。TSMCの製造能力が逼迫すると、その影響は最終製品の供給にまで及びます。

料金:公開価格はなく、値上げが報じられている

TSMCの製造料金は顧客との個別契約で決まり、公開された料金表はありません。

Tom's Hardwareは、TSMCがCoWoSの価格を20%引き上げることを検討していると報じました。これは報道の段階であり、値上げが決定したとは確認されていません。背景にはNVIDIA向けの需要による逼迫があるとされています。また、記事のURLに含まれる情報によると、製造装置のリードタイムは8カ月に延びています。

値上げが実施されれば、そのコストはAIチップの価格に上乗せされ、最終的にGPUやAIサーバーの価格に反映される可能性があります(これは当サイトの推測です)。

競合と最近の動き:Intelとの比較、Terafab構想

受託製造の分野では、TSMCのほかにIntelやサムスン電子も事業を展開しています。

最近の動きとしては、イーロン・マスク氏が半導体製造構想「Terafab」をめぐってTSMCと協議していることを認めました。報道の見出しによると、提携先として名前が挙がっているのはTSMCとIntelの2社だけです。また、Terafabで製造する半導体は、Tesla、SpaceX、xAIの3社にだけ供給されます。協議がどの段階にあるのか、条件や生産規模はどうなるのかは、現時点の報道からは分かりません。

投資家が注目すべきポイントは、CoWoSを中心とする先端パッケージングの供給能力と、それに伴う価格の動きです。AIチップの需要がどれだけ続くかが、TSMCの価格決定力を左右します。

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