用語解説 ファブ

ファブとは

ファブとは半導体チップを製造する工場のことで、fabrication facilityの略称に由来します。ファブレスやファウンドリとの違い、製造委託の料金の考え方、主要企業、米国のロボット規制やAI活用の動きまで整理します。

ファブとは、半導体チップを製造する工場のことです。英語の fabrication facility(製造施設)を略した「fab」に由来し、シリコンウエハー上に回路を作り込む工程を担います。

ファブとは何か

ファブの特徴は、微細な塵でも不良の原因になるため、クリーンルームの中で製造を進める点です。成膜、露光、エッチング、イオン注入といった工程を何度も繰り返し、回路を層状に積み上げていきます。

工場内では自動搬送などで多くのロボットが使われています。人の手作業より、装置とロボットの連携で動く比重が大きい工場だと考えると実態に近いでしょう。

ファブの使い方(ファブレス・ファウンドリとの違い)

ファブはソフトウェアのように誰でも契約して使えるサービスではありません。実務では、半導体を作る企業がファブをどう持つかを表す言葉として登場します。

自社で設計からファブでの製造まで手がける企業は IDM(垂直統合型メーカー)と呼ばれ、Intel が代表例です。ファブを持たず設計に集中する企業はファブレスと呼ばれ、NVIDIA が該当します。他社の設計を受託して製造する企業はファウンドリと呼ばれ、TSMC が代表例です。

エンジニアの視点では、ファブレス企業が設計データをファウンドリへ渡し、製造を委託するのが基本の流れです。

ファブの料金

ファブに定価はありません。製造委託の費用は、製造プロセスの世代、数量、契約条件によって変わるため、公開の料金表で確認できるものではなく、個別の交渉で決まります。このため、本記事では具体的な金額は示しません。

事業会社の企画・DX 担当者にとって、ファブを自社で持つことは現実的な選択肢になりにくいでしょう。これは筆者の見方ですが、参考にしやすいのは工場運営の自動化やAI活用の事例としての側面です。

誰が作っているのか、競合は何か

最先端のファブを運営する企業としては TSMC、Samsung Electronics、Intel が競合関係にあります。ファブの中で使う製造装置は別の企業群が供給しており、露光装置の ASML、Applied Materials、東京エレクトロンなどが知られています。投資家の視点では、ファブを持つ企業と、そこへ装置を売る企業、ファブを使う設計企業を分けて見ると構図を把握しやすくなります。

ファブをめぐる最近の動き

Ars Technica によると、米国の外国製ロボット禁止措置は対象範囲があいまいで、ファブにも及ぶおそれがあると懸念されていました。こうした中で Intel は適用除外を受けました。ただし、当サイトの記事の時点では、措置の具体的な内容、除外の範囲、他社の扱いは確認できていません。

また NVIDIA は、半導体業界の主要企業とともに設計と製造の両面でAI活用を進めると発表しました。掲げるのは、工場の運営そのものをAIが担う「AI定義型ファブ」です。参加企業の名前、具体的な取り組み内容、導入時期は確認できていません。

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