ランサムウェアとは
ランサムウェアは、企業や個人のファイルを暗号化して使えなくし、元に戻す代わりに金銭を要求するマルウェア(悪意あるソフトウェア)です。名前は「身代金(ransom)」と「ソフトウェア」を組み合わせた造語で、製品やサービスの名称ではなく、サイバー攻撃の手段を指します。
近年は暗号化に加え、盗んだデータの公開を脅しに使う「二重恐喝」が広く見られます。この手口では、バックアップから復旧できても情報流出の問題は残ります。
当サイトで扱った事例では、ITmedia NEWS によると、GMO がランサムウェア被害に遭った顧客に新しい PC を提供します。犯行グループは顧客 1 人の情報を公開したとみられますが、被害サービスや顧客数は入手できた材料からは分かっていません。
使い方:正規の用途はなく、知るべきは防御策
ランサムウェアに正規の使い方はありません。他人のシステムに仕掛ければ犯罪です。エンジニアや DX 担当者が押さえるべきなのは、侵入の経路と防御の手順です。
主な侵入経路は、VPN 機器などの未修正の脆弱性、盗まれた認証情報、フィッシングメールです。侵入後は権限を広げ、社内を横に移動してから暗号化を実行するのが典型的な流れです。
対策の基本は次の 4 点です。
- 外部公開機器のパッチ適用と多要素認証の徹底 - 管理者権限の最小化とネットワークの分離 - 端末やサーバーの挙動を監視する EDR の導入 - ネットワークから切り離したバックアップの確保と、復旧手順の訓練
特にバックアップは、取得しているだけでは足りません。攻撃者に同時に暗号化・削除されない保管方法と、実際に戻せることの確認が要点です。
料金:身代金に定価はない
身代金に決まった価格はなく、要求額は攻撃者や被害組織の規模によって変わります。支払いには暗号資産が指定されることが多くあります。信頼できる相場の数字を手元に持っていないため、この記事では金額を示しません。
支払っても、データの復元や盗まれた情報の削除が保証されるわけではありません。相手は犯罪者であり、約束を守る義務も、それを強制する手段もないからです。
復旧業者の選定にも注意が必要です。GIGAZINE によると、「身代金を払わず復元できる」とうたっていたセキュリティ企業の CEO が起訴されました。社名は URL の表記から MonsterCloud とみられます。実際には、被害者から受け取った手数料の中から身代金を支払っていたとされます。これは起訴段階の内容で、有罪が確定したわけではありません。
誰が作っているのか:攻撃者の分業と防御側の市場
作っているのは企業ではなく犯罪グループです。代表的な形態が RaaS(Ransomware as a Service)で、開発者が攻撃ツールを提供し、実行役が侵入を担当して、身代金を分け合います。LockBit はこの形態で知られる名称です。
ランサムウェアに製品としての「競合」はありません。投資家が見るべきなのは防御側の市場で、EDR、バックアップ、インシデント対応、サイバー保険などが該当します。
記録媒体にも影響が及んでいます。CNET Japan によると、富士フイルムは磁気テープの 5 倍の増産に向けて 100 億円を投資し、ランサムウェアへの耐性が注目されていると説明しています。テープはネットワークから切り離して保管できるため、これが理由の一つだと考えられますが、ここは筆者の推測です。増産の完了時期や需要の内訳は分かっていません。


