用語解説 ちょうでんどうほうしき

超伝導方式とは

超伝導方式は、極低温で電気抵抗がゼロになる超伝導回路を量子ビットとして使う量子コンピューターの方式です。仕組み、使い方、料金の考え方、開発企業、ダイヤモンドスピン方式など他の方式との違いをまとめます。

超伝導方式とは、金属を極低温まで冷やして電気抵抗がゼロになる「超伝導」の状態にし、その電子回路を量子ビットとして使う量子コンピューターの方式です。量子コンピューターには複数の作り方があり、超伝導方式はそのうち開発の歴史が長く、大手企業が力を入れている代表的な方式のひとつです。

超伝導方式とは:仕組み

超伝導方式の量子ビットは、半導体のように基板の上に作る電子回路です。中心にあるのは「ジョセフソン接合」で、超伝導体の間に薄い絶縁膜をはさんだ素子です。この回路がとるエネルギーの状態を0と1に割り当て、マイクロ波のパルスで操作し、結果を読み出します。

回路を超伝導の状態に保ち、熱による雑音を抑えるため、本体は希釈冷凍機という装置の中で絶対零度近くまで冷やします。冷却設備が大きくなることは、この方式に固有の課題です。当サイトで報じた富士通の発表によると、同社のダイヤモンドスピン方式は「超伝導方式より高い」温度で動くとされ、比較の対象として超伝導方式の冷却条件の厳しさが挙げられています(元記事の抜粋は数値の途中で切れているため、正確な温度は富士通の発表本文で確認してください)。

何ができるのか・使い方

エンジニアが超伝導方式の量子コンピューターを使う場合、自分で装置を持つのではなく、開発企業や研究機関が公開するクラウドサービス経由で使うのが一般的です。量子ゲートを並べた「量子回路」をSDKで書いて送り、実機またはシミュレーターで実行して、測定結果を確率の分布として受け取ります。

用途の候補には、分子や材料のシミュレーション、組合せ最適化、量子アルゴリズムの研究があります。ただし現在の実機は雑音によるエラーが多く、事業の本番業務で従来のコンピューターを上回る成果を安定して出せる段階かどうかは、用途ごとに確かめる必要があります。DX担当者が検討する場合は、まず研究開発や検証(PoC)の位置づけで考えるのが現実的です(これは筆者の判断です)。

料金

超伝導方式という「方式」そのものに料金はありません。料金は、各社のクラウドサービスや共同研究契約ごとに決まります。当サイトの記事には具体的な価格の情報がないため、ここでは金額を書きません。利用を検討する場合は、各サービスの公式な料金ページや問い合わせ窓口で、実機の利用時間や実行回数による課金体系を確認してください。

誰が作っているのか・競合する方式

超伝導方式は、海外ではIBMやGoogleなどが開発しています。国内では富士通がこれまで超伝導方式の量子コンピューターを開発してきました。

競合は企業だけでなく「別の方式」でもあります。イオントラップ、中性原子、光、半導体スピンなどの方式が並行して研究されています。富士通も9月8日に、ダイヤモンド結晶中の格子欠陥を量子ビットに使う「ダイヤモンドスピン方式」の試作機を発表しました。デルフト工科大学、QuTechとの2020年からの共同研究の成果で、外部ノイズに強いスズ-空孔(SnV)センターを使っています。超伝導方式を進めてきた企業が別の方式にも取り組みを広げた例であり、どの方式が主流になるかはまだ決まっていないと筆者はみています。投資の観点では、各社がどの方式に賭けているかを見るのが判断材料のひとつになります。

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