受電容量とは、建物や施設が電力会社の送配電網から受け取れる電力の上限のことで、kW(キロワット)やMW(メガワット、1MW=1000kW)で表します。データセンターでは、置けるサーバーの量をほぼ決める数字なので、施設の規模を示す指標として使われます。
受電容量とは:何を表す数字か
受電容量は、建物側の受電設備(変圧器や遮断器など)の能力と、電力会社との契約の両方で決まります。設備だけを増やしても、契約と送配電網の側が追いつかなければ使える電力は増えません。
日本では、契約電力が 50kW 以上 2000kW 未満なら高圧、2000kW 以上なら特別高圧で受電するのが一般的な区分です。MW 単位の受電容量を持つデータセンターは、特別高圧で受電する規模にあたります。
注意したいのは、受電容量がそのままサーバーに使える電力ではないことです。冷却、照明、電源設備での損失にも電力が要るため、IT機器に回せる電力は受電容量より小さくなります。施設全体の電力を IT 機器の電力で割った値を PUE と呼び、1 に近いほど効率がよい施設です。
使い方:ニュースやリリースでの読み方
データセンターの発表を比べるときは、まず「受電容量」と「IT容量」のどちらの数字かを確かめます。同じ MW 表記でも、どちらを指すかで実際に置けるサーバーの量は変わります。
次に、1 拠点の数字か、複数拠点を足した「総受電容量」かを見ます。たとえばイオレグループが参画を発表した計画は、全国 300 拠点で総受電容量 600MW 規模です。単純に割ると 1 拠点あたり平均 2MW になりますが、これは当サイトの計算で、各拠点の実際の規模は発表からは分かっていません。
エンジニアや企画担当にとっては、受電容量は GPU サーバーを何台まで増やせるかの上限を見積もる出発点になります。AI 向けの GPU サーバーは消費電力が大きいため、床面積より先に電力が足りなくなることがあります。
料金:受電容量に値段はあるのか
受電容量そのものに決まった価格はありません。費用に関わるのは主に次の 3 つです。
1 つ目は電気料金です。日本の法人向け電気料金では、基本料金が契約電力をもとに決まるため、容量を大きく取るほど固定費が増えます。2 つ目は受電設備の購入と工事の費用です。3 つ目は、送配電網への接続に必要な工事の負担金です。
具体的な金額は、地域、電力会社、電圧、契約の条件で大きく変わるため、ここでは示しません。容量を増やすには電力会社側の工事が要る場合があり、費用だけでなく時間もかかる点が計画上の制約になります。
誰が増強しているのか:最近の動き
当サイトで扱った発表は次の 2 件です。
KDDI は、ロンドンのデータセンターの受電容量を倍増させ、AI に対応した新しい施設を建てると報じられました。増強後の容量、投資額、完成時期は、確認できた範囲では分かっていません。
イオレグループは、全国 300 拠点・総受電容量 600MW 規模の分散型 AI データセンター構想への参画を発表しました。プロジェクトの主体や同社の役割は、見出しからは分かりません。
投資家の視点では、受電容量は AI 向けデータセンターの供給力を測る数字の一つです。発表を見るときは、容量の数字に加えて、稼働時期と電力の確保の見通しが示されているかを確かめるのが要点です。競合の状況は、今回の情報源の範囲では扱っていません。

