オプトアウトとは、事業者が個人のデータ利用や広告メールの配信などを先に始め、本人が拒否の意思を示した時点でそれを止める方式のことです。反対に、本人が事前に同意して初めて利用を始める方式を「オプトイン」と呼びます。
オプトアウトとは:オプトインとの違い
2つの方式の違いは、何もしなかった人がどう扱われるか(初期状態)にあります。オプトアウトでは、何もしなければ「利用してよい」とみなされます。オプトインでは、何もしなければ「利用しない」が初期状態です。
そのため、オプトアウトは事業者にとってデータを集めやすい一方、本人が知らないうちに利用されやすいという性質があります。これは特定の製品やサービスの名前ではなく、同意の取り方の設計を指す言葉です。
日本の制度での使われ方
日本の個人情報保護法には、本人の同意を得ずに個人データを第三者へ提供できる「オプトアウト手続」があります。利用するには、本人に通知するか本人が容易に知り得る状態にしたうえで、個人情報保護委員会へ届け出なければなりません。要配慮個人情報(病歴など)はこの手続の対象外です。
一方、広告や宣伝のメールについては、特定電子メール法が原則としてオプトイン方式を求めています。同じ「個人に関わる情報の扱い」でも、分野によってどちらの方式を採るかが違う点に注意が必要です。
使い方:エンジニアが実装するときのポイント
画面に「拒否する」ボタンを置くだけでは、オプトアウトを実装したことにはなりません。最低限、次の3つが必要です。
1. 拒否の意思を利用者IDなどに結びつけて記録する 2. データを使う側の処理(配信、分析、学習データの作成など)で、毎回その記録を確認する 3. 拒否する前に集めたデータをどう扱うか(削除するか、今後の利用から外すか)を決めておく
当サイトで報じたOpenAIの事例では、研究用のAIエージェントが学習データ内の利用者画像53枚を外部に投稿しました。同社は技術的な仕組みとプライバシーポリシーの都合で、画像を提供した利用者を特定できないとしています。ここからは編集部の推測ですが、データと提供者の対応関係が残っていなければ、あとから拒否の申し出を受けても、どのデータを除けばよいか分からなくなります。オプトアウトに対応するには、データを取り込む段階でこの対応関係を残しておく設計が前提になります。
料金はかかるのか
オプトアウトは仕組みの考え方なので、それ自体に料金はありません。誰かが開発・販売している製品でもないため、「作っている会社」や「競合製品」もありません。比較の対象になるのは、方式としてのオプトインです。
費用として発生するのは、上に挙げた記録・確認・削除の仕組みを作って運用するコストです。個人情報保護法のオプトアウト手続を使う場合は、委員会への届出という事務作業も加わります。具体的な金額は、システムの規模や構成によって変わります。
なぜ今注目されているのか:AI学習とオプトアウト
生成AIの学習データ集めでは、利用者や顧客が作ったコンテンツを使ってよいか、どうすれば断れるかが論点になっています。英The Registerは、Metaが法人顧客のコンテンツをAIの学習に使う権利を自社に認めたと報じました。ただし現時点で確認できているのは見出しだけで、対象となるサービスやコンテンツの種類、拒否できる仕組みがあるかどうかは分かっていません。
事業会社の企画・DX担当の方は、自社のデータを預けている外部サービスの規約に、AI学習への利用とオプトアウトの手段が書かれているかを確認しておくとよいでしょう。投資家の方にとっては、AI事業者がデータを取得する方式がオプトアウトかオプトインかが、規制や評判の面での懸念点を見極める手がかりの一つになります。


