用語解説 じょうちょうか

冗長化とは

冗長化とは、機器・回線・電源・拠点を複数用意し、一部が故障してもシステムを止めない設計です。仕組みの種類、設計で外せない切り替え試験、費用の考え方、AIデータセンターで出ている新しい論点を解説します。

冗長化とは、システムを構成する機器や経路をあらかじめ複数用意しておき、一部が故障しても別の系統で処理を続けられるようにする設計のことです。特定の製品名ではありません。サーバ、ネットワーク、電源、データセンターといった、あらゆる層に当てはめる考え方です。

冗長化とは:何を複数にするのか

冗長化の目的は「単一障害点(SPOF)」をなくすことです。単一障害点とは、そこが1か所壊れるだけで全体が止まってしまう部分を指します。代表的な対象は次のとおりです。

サーバは複数台を並べ、ロードバランサで処理を振り分けます。ストレージはRAIDやレプリケーション(複製)でデータを複数の場所に持ちます。ネットワークは回線やスイッチを二重にします。電源はUPS(無停電電源装置)、非常用発電機、2系統からの受電を組み合わせます。拠点については、別の地域にあるデータセンターへ切り替えられるようにします。

構成の型は主に2つあります。全系統を同時に動かす「アクティブ・アクティブ」と、予備を待機させておき障害時に切り替える「アクティブ・スタンバイ」です。必要な台数に1台分の予備を足す構成を「N+1」と呼びます。

使い方:設計で外せないポイント

予備を置いただけでは冗長化は完成しません。障害を検知し、予備へ自動で切り替える仕組み(フェイルオーバー)が実際に動くことが前提です。

英The Registerは、Googleのロンドンのデータセンターで電源が失われた際、本来起動すべき発電機が作動しなかったと報じました。影響範囲・停止時間・原因は、見出しの段階では明らかになっていません。この件の原因は不明ですが、予備系統が非常時に本当に動くかを定期的に試験する必要がある、というのは一般的な設計原則です。

もう1つの注意点は「共通原因故障」です。2系統を用意しても、同じ電源や同じ設定ミスに依存していれば同時に止まります。系統同士をどこまで独立させるかが設計の要点です。

料金:冗長化にいくらかかるのか

冗長化そのものに定価はありません。費用は、予備として追加する機器・回線・ライセンスの代金と、それを維持する運用の手間で決まります。二重化した部分は、単純に考えると設備費がその分増えます。

クラウドで複数のゾーンやリージョンに配置する場合は、台数分の利用料に加えて、拠点間のデータ転送料が別にかかることがあります。具体的な金額は各事業者の料金表で確認してください。投資するかどうかは「1時間止まると損失はいくらか」と比べて判断するのが基本で、すべてを最大限に冗長化するのが正解とは限りません。

誰が提供しているのか・AI時代の論点

冗長化は特定の企業が開発した技術ではありません。サーバやネットワーク機器のメーカー、クラウド事業者、データセンター事業者が、それぞれの層で冗長化の仕組みを提供しています。データセンター事業者にとっては、冗長性の高さがサービス品質を示す指標の1つになります。

新しい論点も出ています。データセンター業界誌Data Center Dynamicsは、AIデータセンターでは冗長化だけでは足りず「動的な安定性」が重要になる、と論じる寄稿を掲載しました。当サイトが入手できたのは見出しだけで、筆者や具体的な論点は確認できていません。AI向け設備に特有の電力や運用の事情を踏まえた問題提起とみられます(これは推測です)。予備を持つという従来の考え方に、何が加わるのかが今後の注目点です。

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