光インターコネクトは、チップ・基板・装置のあいだのデータ伝送を、銅線の電気信号ではなく光で行う接続技術です。同じ帯域をより長い距離まで、少ない減衰と発熱で運べることが、銅配線に対する主な差になります。
何ができるのか — 銅線との違い
電気信号は速度(周波数)を上げるほど銅線での減衰が急に大きくなり、距離を稼ごうとすると信号を整え直す回路とその消費電力が必要になります。光ファイバはこの距離と減衰のトレードオフが緩く、さらに波長多重(複数の波長を1本のファイバに載せる)で、1本あたりの帯域を物理的な本数を増やさずに積み増せます。
AI・HPCのクラスタでは、GPUやアクセラレータの台数が増えるほど「計算そのもの」より「つなぐこと」がボトルネックと電力の主因になります。光インターコネクトが注目されている理由はここにあり、単なる配線の置き換えではなく、ラックをまたいで大量のノードを1つの計算機のように扱うための前提条件という位置づけです。
使い方 — どこに入るのか
適用箇所は距離によって段階が分かれます。装置と装置の間は、スイッチやサーバのポートに挿す光トランシーバとしてすでに広く使われています。その内側、スイッチASICやXPUのパッケージの近く・同一パッケージに光の入出力を寄せていく方向が、いま各社が開発を競っている領域です。さらに内側のチップ間接続は、より先の段階にあたります。
事業会社の立場では、光部品を単体で選定するより、スイッチやサーバの構成オプションとして入ってくるのが通常です。検討時に効くのは、必要な距離とファイバの種別(シングルモード/マルチモード)、ポート単価、そしてポートあたりの消費電力です。既設のファイバをそのまま使えるかどうかで、導入コストの内訳は大きく変わります。
料金 — 何にいくらかかるのか
価格は製品ごとの相対で決まり、公開された定価表がある領域ではありません。本稿の材料からも具体的な単価は確認できないため、数字は示しません(GlobalFoundriesとMarvellの契約金額も非公表です)。
見積もりを取るときは、ポート単価×ポート数、ファイバの敷設・成端の工事費、ポートあたり消費電力(W)×稼働時間の電気代、の3つに分けて比較するのが実務的です。光は初期費用が銅より高くなりやすい一方、距離と電力で回収する構図になるため、この3項目を分けないと比較が成立しません。
誰が作っているのか — 競合の構図
担い手は1社で完結せず、設計する会社と製造する会社の組み合わせで動いています。半導体の受託製造を手がけるGlobalFoundriesと、データセンター向け半導体を展開するMarvellが光技術で複数年の開発契約を結んだとData Center Dynamicsが報じています。対象製品・プロセス・金額・時期は公表されていません。
投資側でも、SK hynixがCVCの新ブランド「SK hynix Ventures」を立ち上げ、投資対象にAIコンピューティングやデータセンターと並んで光接続を挙げています。メモリ大手が光接続を投資範囲に入れている点は、この技術がAI基盤の一部として扱われていることを示す材料です。
なお、最大の競合は他社の光技術ではなく銅配線です。銅で足りる距離・速度である限り銅が選ばれるため、光がどこまで内側に入り込むかが各社の競争軸になります。

