用語解説 エスエムアール

SMRとは

SMR(小型モジュール炉)は、出力を小さく抑え、工場で作った部品を組み立てて建てる原子炉。AIデータセンターの電力不足を背景に、GoogleがKairos Powerの50MW炉を米テネシー州で建設中。仕組み、用途、料金情報の現状、関係企業を整理する。

SMR(Small Modular Reactor、小型モジュール炉)は、出力を小さく抑え、工場で作った部品(モジュール)を現地で組み立てて建てる原子炉のことです。国際原子力機関(IAEA)は、電気出力がおおむね300MW以下のものをSMRと呼んでいます。いまこの言葉が注目されているのは、AIデータセンター向けの電源として、IT企業が直接関わり始めたためです。

SMRとは:従来の原発と何が違うのか

従来の大型原発は1基で1000MW級の出力を持ち、現地で一から建設するのが基本です。SMRは1基あたりの出力を小さくし、規格をそろえた部品を工場でまとめて作ります。狙いは、建設期間とコストを読みやすくすること、そして必要な出力に合わせて基数を増減できることです。

例として、Kairos PowerがGoogle向けに米テネシー州で建設している炉の出力は50MWです。大型原発1基のおよそ20分の1にあたります。

何に使えるのか:データセンター電源としての使い方

SMRはソフトウェアやクラウドサービスではないので、エンジニアがAPIで呼び出したり、操作したりするものではありません。企業がSMRを「使う」というのは、特定の炉が発電した電力を長期契約で受け取る、という意味です。GoogleとKairos Powerの案件はこの形にあたります。

背景にあるのは電力不足です。米エネルギー省(DoE)は総額52.5億ドル(うち連邦資金19億ドル)をかけて送電網を改良し、新しい発電所を建てずに23GW分の容量を引き出す計画を発表しました。ただ、それでもAIデータセンターの需要の伸びには届かないと見られています。そのため、送電網の改良と並行して、新しい電源としてSMRを確保する動きが出ています。

事業会社の企画・DX担当者にとっての論点は「自社でSMRを持つかどうか」ではありません。データセンターや電力会社がどの電源を確保しているかが、自社の計算資源の調達コストや脱炭素の方針に影響する、という点です(これは筆者の見立てです)。

料金:いくらかかるのか

当サイトが入手している材料には、SMRの建設費、発電単価、電力購入契約の金額は含まれていません。Kairos PowerとGoogleの案件も、契約額は明らかになっていません。そのため、この記事では価格を示しません。金額が公表された時点で更新します。

誰が作っているのか:開発企業と建設パートナー

当サイトで報じた例では、炉を開発するのは米国のKairos Power、電力の買い手はGoogle、建設の協力先は韓国のSamsung C&Tです。この人選はData Center Dynamicsが見出しで伝えたもので、Samsung C&Tがどこまでを担当するのか、いつ稼働するのかといった詳細は分かっていません。

この構図からは、SMRの事業が「炉の開発会社」「電力を買うIT企業」「建設を担うゼネコン」の三者で成り立つことが読み取れます。投資家が競合を見るときは、炉の開発会社どうしの比較に加えて、どのIT企業と組んでいるか、どの建設会社を押さえているかも比べる必要があります。当サイトではまだ他社のSMR案件を取り上げていないため、競合各社の比較は扱っていません。

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