用語解説 エーアイしゅけん

AI主権とは

AI主権とは、AIの計算資源・モデル・データ・運用ルールを自分たちの管理下に置く考え方。製品名ではないため、決まった料金はない。オンプレミスやソブリンクラウドなどの実現方法、費用の考え方、IBMなどの動きを整理する。

AI主権とは、AIを動かす計算資源・モデル・データ・運用ルールを、国や企業が自分たちの管理下に置き、他社の都合に左右されずにAIを使い続けられる状態を指す考え方です。特定の製品名やサービス名ではありません。「AIをどこで動かし、データと設定を誰が握るか」という管理権の問題を表す用語です。

AI主権とは何を守る考え方か

AI主権で問われるのは、主に次の4点です。

- 計算資源:モデルを動かす基盤を、どの国の、どの事業者の設備に置くか - モデル:使うモデルを自分で選び、更新の時期を自分で決められるか - データ:入力した社内データや個人情報を、どの国の法律の下で保管・処理するか - ガバナンス:アクセス権、ログ、利用ルールを自分の組織で監査できるか

外部のクラウドAPIにすべてを任せると、これらの一部を提供事業者に預けることになります。どこまで預けるかを意識して選ぶための枠組みがAI主権だ、というのが当サイトの整理です。

使い方:AI主権を確保する方法

AI主権は、ツールのように「使う」ものではありません。システムの構成によって「確保する」ものです。代表的な方法は次の3つです。

オンプレミス運用は、自社のサーバーでAIを動かす方法です。データは社外に出ませんが、設備と運用の負担はすべて自社が負います。

ソブリンクラウドは、特定の国・地域の法律と管理の下で運用されるクラウド環境を使う方法です。

セルフホステッド型の製品は、ベンダーのAI製品を自社が管理する環境に置いて動かす形です。IBMは「IBM Bob」のセルフホステッド型を発表しました。オンプレミスやソブリンクラウドで運用でき、企業のAI主権とガバナンスの強化を支援するとしています。

エンジニアにとってのAI主権の実務は、モデルの置き場所、推論の基盤、ログの保存先、外部との通信の有無を設計の段階で決めることです。

料金:AI主権にはいくらかかるか

AI主権は考え方なので、決まった料金はありません。費用はどの構成を選ぶかで決まります。オンプレミスなら計算機の購入費と運用の人件費、ソブリンクラウドやセルフホステッド型の製品なら各社との契約条件が費用の中心です。

IBM Bobのセルフホステッド型については、価格も提供時期も現時点では分かっていません。企画・DX担当者が比べるときは、API型より増える固定費(設備・運用)と、データを社外に出さないことで避けられるリスクを並べて評価するのが現実的です(当サイトの見解です)。

誰が取り組んでいるのか・競合は

AI主権は一社の製品ではないので、「開発元」はありません。当サイトの記事で確認できている動きは次の2つです。

IBMは「IBM Bob」のセルフホステッド型を発表し、AI主権とガバナンスを前面に打ち出しました。

Google DeepMindは、欧州の科学研究に高度なAI計算資源と最先端のモデルを提供する取り組みを発表しました。ただし、発表がAI主権という言葉を使っているかどうかは確認できていません。対象の研究機関や規模も不明です。特定の地域に計算資源を提供する動きなのでAI主権に関わる可能性がある、というのは当サイトの推測です。

投資家の視点では、AIモデルの提供者どうしの競争として見るより、外部API型の利用と自社・自国で管理する運用のどちらに需要が向かうかという構図で見るのが適切です。企業ごとの市場シェアを示すデータは、現時点で当サイトにはありません。

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