AGVとは、工場や倉庫の中で部品や製品を自動で運ぶ「無人搬送車(Automated Guided Vehicle)」のことです。床に貼った磁気テープやマーカーなどの目印をたどって決まった経路を走り、人が台車やフォークリフトで行っていた搬送を代わりに担います。
AGVとは:AMRとの違い
AGVの特徴は、あらかじめ決めた経路の上を走ることです。位置を知る方法(誘導方式)には次のようなものがあります。
- 磁気誘導:床に貼った磁気テープを読み取って走る - マーカー誘導:床に並べた二次元コードなどを読んで、自分の位置を確かめる - レーザー誘導:壁や柱に付けた反射板をレーザーで測って、位置を計算する
よく比べられるのがAMR(自律走行搬送ロボット)です。AMRはセンサーで周りの地図を作りながら(SLAM)、自分で経路を決め、障害物があれば避けて進みます。AGVは障害物の前で止まるのが基本です。経路が決まっていて動きが読みやすいのがAGVの長所で、レイアウト変更に強いのがAMRの長所です。ただし今は両方の特徴を持つ製品もあり、どこで線を引くかはメーカーによって違います。
使い方:何ができるのか
代表的な用途は、工程から工程への部品の運搬、完成品を倉庫へ運ぶこと、自動倉庫との受け渡しです。形もいくつかあり、台車を引っ張るけん引型、棚や台車の下に潜って持ち上げる低床型、フォークリフトを無人にしたフォーク型などがあります。
エンジニアの目線で導入するときは、次の点を設計します。
1. どこからどこへ運ぶか(経路)と、どこで荷物を受け渡すか 2. 全体を管理するシステムで、複数台の運行や交差点での優先順位を決める 3. 生産管理システム(MES)や倉庫管理システム(WMS)と連携し、搬送の指示を自動で出す 4. 充電のタイミングと、人がいる場所での安全対策
実際の例として、デクセリアルズは栃木県鹿沼市の新棟「101号館」で、AGVや自動倉庫、AI検査を組み合わせたスマートファクトリー化を進めています。生産能力を従来の1.5倍に、1人当たりの生産性を約2倍に高めることを目標にしています。
料金:費用の考え方
AGVの価格は、運べる重さ、誘導方式、台数、管理システムや他システムとの連携の範囲で大きく変わります。メーカーは個別見積もりにしていることが多く、この記事では具体的な金額を確認できていません。
企画・DXの担当者が予算を組むときは、車両本体だけで考えないことが大切です。管理ソフト、床の工事(磁気テープやマーカーの設置)、既存システムとの連携開発、保守にも費用がかかります。リース、レンタル、月額制を用意しているメーカーもあるので、比べてみる価値があります。
メーカーと競合:誰が作っているのか
国内では、マテハン(物流機器)の大手であるダイフク、豊田自動織機、村田機械、オカムラなどがAGVや搬送システムを手がけています。海外ではKUKAなどの産業用ロボットメーカーも参入しています。AMRの分野ではスタートアップや海外勢も多く、AGVとAMRがそれぞれの得意な現場を取り合う関係になっています。
投資家の目線で注目したいのは相互運用性です。The Robot Reportによると、ISOが、異なるメーカーの移動ロボットどうしが協調して動けるようにするための相互運用規格を新しく策定しました。これまでは、1つの現場で複数メーカーのロボットを一緒に動かすのが難しいという課題がありました。規格が広まれば、メーカーを1社に縛られる度合いが下がり、管理ソフトの側で差がつく競争に変わる可能性があります(これは筆者の推測です)。なお、規格の番号、具体的な内容、発効の時期は確認できていません。

