用語解説 テンストレント

Tenstorrentとは

Tenstorrent(テンストレント)は、AI向けプロセッサーとオープンソースのソフトウェアを開発するカナダの半導体企業です。CEOはジム・ケラー氏。この記事では製品の仕組み、使い方、料金の調べ方、競合、日本での導入支援の状況をまとめます。

Tenstorrent(テンストレント)は、AIの学習・推論に使うプロセッサーと、それを動かすソフトウェアを開発しているカナダ発の半導体企業です。NVIDIAのGPUとは別の選択肢として、RISC-Vとオープンソースのソフトウェアを軸に、PCIeカードやサーバー、チップの設計ライセンスを提供しています。

Tenstorrentとは:誰が作っている会社か

2016年にトロントで創業しました。CEOはジム・ケラー氏で、AMD、Apple、Tesla、Intelでプロセッサー設計を率いた人物です。

当サイトで取り上げたTechCrunchの報道によると、Tenstorrentの企業価値は62億ドルに達し、その資金で「open-weight AI chips」の規模を広げるとしています。調達額、出資者、製品計画は見出しからは確認できていません。「open-weight」が何を指すのかも見出しだけでは分かりません。ソフトウェアを公開している同社の方針と関係する可能性はありますが、これは推測です。

何ができるのか:製品と仕組み

チップの中には「Tensix」という演算コアが多数並び、各コアに小さなRISC-Vプロセッサーが入っています。世代はGrayskull、Wormhole、Blackholeと進んできました。

製品は大きく3つです。

- ワークステーションに挿して使うPCIeカード - 複数のチップを積んだサーバー(Galaxy) - RISC-V CPUやAI向け回路の設計(IP)のライセンス提供

チップ同士をイーサネットで直接つないで台数を増やせる設計で、大きなモデルは複数のチップに分けて動かします。

使い方:開発環境とソフトウェア

ソフトウェアはGitHubで公開されていて、主に3つの層があります。

- TT-Metalium:コア単位でカーネルを書く低レベルの層 - TT-NN:PyTorchに近い書き方で演算を組み立てるライブラリ - TT-Forge:PyTorchなどで書かれた既存モデルを変換するコンパイラ

注意点として、NVIDIA向けのCUDAコードはそのままでは動きません。性能を出すにはモデルの移植や最適化が必要で、ここが導入時の一番の負担になります。

日本では、フィックスターズとマクニカがTenstorrent製品の導入を一貫して支援すると発表しました(PR TIMES)。実機での評価から、AIモデルの最適化、導入、運用までが対象です。社内に専門のエンジニアがいない企業でも試しやすくなります。両社の役割分担は見出しからは分かりません。

料金:いくらかかるのか

PCIeカードは公式サイトで直接購入でき、価格も掲載されています。ただし、この記事の執筆時点で最新の価格を確認できていないため、金額は載せていません。購入前に公式ストアで確認してください。サーバー製品やIPライセンスは個別の見積もりになると考えられますが、これも推測です。

費用を比べるときは、ハードウェアの価格だけでなく、移植と最適化にかかる人件費や外部への委託費も含めて見積もる必要があります。

競合と注目点

主な比較相手は、AIアクセラレーターで圧倒的なシェアを持つNVIDIAです。ほかにAMDのGPUや、Groq、Cerebrasなどの専用チップ企業も同じ市場で競っています。

Tenstorrentの特徴は3つあります。ソフトウェアをオープンソースで公開していること、RISC-Vを採用していること、チップを売るだけでなく設計そのものもライセンスしていることです。日本では、最先端半導体技術センター(LSTC)がTenstorrentと組み、Rapidusの製造技術を使うAIチップの開発を進めると発表しています。投資家にとっての見どころは、NVIDIAに依存しない選択肢を求める需要をどこまで取り込めるかと、ソフトウェア環境をどこまで成熟させられるかの2点です。

Tenstorrentに関する記事

2 件