用語解説 ハーネス

ハーネスとは

ハーネスとは、LLMを外側から動かしてAIエージェントとして機能させる実行基盤のこと。AWSがOSSで公開した「Strandsハーネス」を例に、できること、使い方の考え方、料金の考え方、開発元と競合を整理します。

ハーネスとは、AIエージェントで大規模言語モデル(LLM)の外側に置き、モデルへの指示、ツールの呼び出し、結果の受け渡しを繰り返させる実行用のソフトウェアです。LLMは単体では文章を返すだけですが、ハーネスと組み合わせると、検索やファイル操作、API呼び出しを何度も行って作業を最後まで進める「エージェント」として動きます。

ハーネスとは:モデルとエージェントの間にある層

ハーネスは英語で「馬具」や「装着具」を意味します。AIの分野では、モデルという「馬」に手綱を付けて、決まった仕事をさせる仕組みを指します。製造業で「ハーネス」といえば車などの配線をまとめた「ワイヤーハーネス」のことですが、この記事ではAIの意味だけを扱います。

ハーネスが担う主な役割は次のとおりです。これは特定の製品の仕様ではなく、エージェント用ハーネスの一般的な構成です。

- モデルに渡す指示文や会話履歴(コンテキスト)を組み立てる - モデルが使える「ツール」(検索、コード実行、社内APIなど)を定義し、実際に呼び出す - ツールの結果をモデルに返し、作業が終わるまでこのループを回す - 終了条件や実行権限を管理する

同じモデルを使っても、ハーネスの設計しだいでエージェントの能力は大きく変わります。

何ができるのか:AWSの「Strandsハーネス」の例

ITmedia NEWSの報道によると、AWSはAIエージェントを自作するためのツール「Strandsハーネス」をオープンソースで公開しました。特徴は、特定のLLMに依存せず、使うモデルを入れ替えられる点です。

これにより、開発者は用途やコストに合わせてモデルを選びながらエージェントを組み立てられるとみられます。ただし、対応しているモデルの一覧や具体的な機能は、現時点で当サイトでは確認できていません。導入を検討する場合は公式の公開情報を確認してください。

使い方:導入までの流れ

ハーネスを使ってエージェントを作る流れは、一般にどの製品でも次のようになります。

1. 使うLLMを選び、API接続を設定する 2. エージェントに使わせるツール(関数や外部API)を定義する 3. 役割や手順を指示文として書く 4. ループを実行し、ログを見て指示やツールを調整する

Strandsハーネスの具体的なインストール手順やコードの書き方は、この記事では扱いません。推測で書くと誤りになるため、公式リポジトリを参照してください。

企画・DX担当者向けの用途としては、問い合わせの一次対応、社内文書の検索と要約、定型的なデータ処理の自動化などが考えられます(これは一般論としての例です)。

料金:ハーネス本体とモデル利用料は別

Strandsハーネスはオープンソースで公開されています。費用の中心になるのは、つなぐLLMのAPI利用料です。

参考として、SpaceXAIが9月21日(現地時間)に発表した「Grok 4.7」のAPI料金は、100万トークンあたり入力2ドル・出力6ドルからです。同社が比較対象に挙げたGPT-5.6 Solは、入力4ドル・出力20ドルです。

エージェントは1つの作業でモデルを何度も呼び出すため、1回だけ質問するチャット利用より消費トークンが増えやすくなります。モデルを入れ替えられるハーネスは、こうしたコストを調整しやすい点に意味があります(ここは当サイトの見立てです)。

誰が作っていて、競合は何か

Strandsハーネスを開発・公開しているのはAWSです。AIエージェントを組み立てるためのフレームワークやSDKは、モデルを提供する企業やオープンソースのコミュニティからも複数出ており、これらが同じ領域の競合になります。

モデル提供企業のツールは自社モデルとの組み合わせを前提にしやすい一方、AWSは「モデルを選ばない」ことを打ち出しています。AWSはクラウド基盤の事業者として、どのモデルが使われても自社基盤の利用につなげたいと考えている可能性があります(これは推測で、AWSが公式に説明した内容ではありません)。各製品の機能を比較した結果は、この記事には含めていません。

ハーネスに関する記事

2 件