ツール呼び出し(Function Calling、Tool Use とも呼ぶ)とは、大規模言語モデル(LLM)が「どの外部ツールを、どんな引数で使うか」を判断し、その内容をJSONなどの構造化データで出力する仕組みです。モデル自身がAPIを実行するわけではありません。実行はアプリ側のプログラムが担い、その結果をモデルに戻して回答を仕上げさせます。
ツール呼び出しとは:何ができるのか
LLMは学習した時点までの知識しか持たず、正確な計算や最新情報の取得、社内システムの操作が苦手です。ツール呼び出しを使えば、社内DBの検索、在庫の確認、メール送信、コードの実行といった処理を会話の中でモデルに選ばせることができます。
要点は、モデルが自由な文章ではなく、事前に定義した名前と引数の形式(スキーマ)どおりに出力することです。そのため、プログラムが出力を確実に読み取って処理できます。ツールを呼び出し、結果を見て次の行動を決める流れを繰り返すと、いわゆる「AIエージェント」になります。ツール呼び出しは、エージェントを支える基本の機能です。
使い方:基本の流れ
開発者が行う手順は、おおむね次の4段階です。
1. ツールの名前・説明・引数の型(JSON Schema形式が一般的)を定義し、ユーザーの質問と一緒にモデルへ送る 2. ツールが必要だとモデルが判断すると、文章の代わりに「ツール名+引数」を返す 3. アプリ側がその関数を実行する 4. 実行結果をモデルに返し、最終的な回答を作らせる
モデルは引数を間違えたり、不要な呼び出しをしたりすることがあります。送金や削除のように取り消しにくい操作には、人間の承認を挟む設計にすべきです。また、ツールの説明文の書き方で呼び出しの精度が変わるため、「いつ使うツールか」を具体的に書くことが大切です。
料金:いくらかかるのか
当サイトで確認した範囲では、主要なAPIはツール呼び出しという機能そのものに専用の料金を設けていません。その代わり、ツールの定義、モデルが出力する呼び出し内容、ツールの実行結果は、すべてトークンとして通常の入出力料金に含まれます。ツールの数が多いほど、また実行結果が長いほど、コストは増えます。
一方、Web検索のように提供企業のサーバー側で動く組み込みツールには、トークンとは別の利用料がかかる場合があります。単価はモデルや事業者ごとに異なり、改定されることもあるため、各社の公式料金ページで確認してください。
誰が作っているのか:主な提供企業と動向
OpenAIは「Function Calling」、Anthropicは「Tool Use」、GoogleのGeminiは「Function Calling」という名称でこの機能を提供しており、主要な商用LLMでは標準的な機能になっています。さらにAnthropicが提唱したMCP(Model Context Protocol)は、ツールのつなぎ方を共通化するための規格です。
国内でも対応が進んでいます。PC Watchの報道によると、国立情報学研究所(NII)は、ツール呼び出しに対応し、STEM分野の能力を強化した「LLM-jp-4.1」を公開しました。国産モデルを社内システムと連携させたい企業にとっては、選択肢が増えたことになります。ただし、モデルの規模、性能値、ライセンス条件は当サイトでは確認できていません。
ハードウェアでもエージェント処理が焦点になっています。NVIDIAは、自社のCPU「Vera」が高いスループットと最速のエージェント処理を両立すると打ち出しました。ツール呼び出しを何度も繰り返すエージェントでは応答の速さが使い勝手を大きく左右するため、それがこの訴求の背景にあると当サイトは推測しています。

