ロボットハンドとは、ロボットアームや人型ロボットの先端に取り付けて、物をつかむ、持ち替える、押さえるといった操作をする装置です。産業用では「グリッパ」や「エンドエフェクタ」とも呼ばれ、ロボットが実際に何を扱えるかはこの部分で決まります。
ロボットハンドとは:主な3つの種類
1つめは2本指・3本指のグリッパです。指を開け閉めして部品を挟みます。構造が単純で壊れにくいため、工場で部品を拾ったり組み立てたりする作業で広く使われています。
2つめは吸着式です。真空の力や吸盤で、平らな面に吸い付いて持ち上げます。段ボール箱や板のような、表面が平らな物を運ぶのに向いています。
3つめは5本指などの多指ハンドです。人の手に近い数の関節を持ち、工具を握る、手の中で物の向きを変えるといった細かな操作を目指します。いま注目されているのはこの多指ハンドです。人型ロボットや、エンボディドAI(身体を持ち、現実の世界で動くAI)の開発が進み、いろいろな物を1つの手で扱いたいという需要が増えているためです。
何ができるのか・使い方
基本的な使い方は、ロボットアームの先端にハンドを取り付け、コントローラから開け閉めやつかむ力、指の位置を指示するというものです。2本指グリッパなら、「この位置で閉じる」という単純な命令の繰り返しで動きます。
多指ハンドは関節が多いため、動きを1つずつ人が教える従来のやり方(ティーチング)だけでは扱いきれません。そのため、カメラの映像などを入力にして、AIで指の動きを決める研究開発が進んでいます。
選ぶときは、つかむ物の形、重さ、柔らかさ、求める精度を先に整理するのが要点です。同じ部品を繰り返し扱うだけなら、多指ハンドより2本指グリッパや吸着式の方が向いていることが多くあります。
料金・価格の考え方
この記事で取り上げる製品の価格は、当サイトでは確認できていません。そのため具体的な金額は書きません。
構造から言えば、指や関節、センサーの数が増えるほど部品も制御も複雑になるため、単純なグリッパより多指ハンドの方が費用はかさみやすくなります(これは構造から考えた見立てです)。また導入費は、ハンド単体ではなく、アーム、制御ソフト、現場に合わせて組み上げるシステムインテグレーションの費用まで含めて見積もる必要があります。実際の金額は、メーカーや販売代理店から見積もりを取って確かめてください。
誰が作っているのか:メーカーと競合の構図
Jodellは、エンボディドAI向けの5本指ロボットハンド「モーツァルト」を発表しました。年間の生産能力は10万台を超えるとしています。人型ロボットなどに組み込み、細かな物の操作をさせる用途を想定しているとみられます。価格、仕様、販売地域は確認できていません。
一方、IEEE Spectrumは、人型ロボット「Atlas」に採用された新しいハンドが、人の手をまねた設計より高い性能を出せる可能性があると報じました。ハンドの構造や性能の数値は確認できていません。
この2つの事例から、競争のポイントは2つあると読み取れます。1つは、人の手に似せた5本指にするか、人に似せない独自の形にするかという設計の考え方です。もう1つは、大量に作って安定して供給できるかという量産の力です。投資の観点では、どちらの設計が人型ロボットで主流になるか、また量産の規模が価格をどこまで下げるかに注目するとよいでしょう(これは当サイトの見立てです)。

