マルチエージェントとは、複数のAIエージェントで一つの仕事を分担し、並行または連携して進める仕組みのことです。1体のAIが調査・判断・実行を順番にすべてこなすのではなく、役割ごとにエージェントを分け、それぞれの結果をまとめて最終的な答えや成果物にします。
マルチエージェントとは
ここでいう「エージェント」は、指示を受けると自分で手順を考え、検索やデータ取得などのツールを呼び出しながら作業を進めるAIを指します。マルチエージェントは、このエージェントを複数組み合わせる設計です。よくある分け方は、依頼を小さな作業に分ける役、各作業を実行する役、結果をまとめる役という3つの役割です。
単体のエージェントとの違いは「分担」と「並列」です。調べる対象が10件あれば、1体が順番に処理するより、複数のエージェントに同時に割り振った方が待ち時間は短くなります。
何ができるのか:当サイトで扱った事例
PC Watchによると、OpenAIはChatGPTで使える「GPT-6 Astra Pro」の処理を高速化しました。あわせて、複数のエージェントを並列で動かす処理にも対応したといいます。一つの依頼を複数のエージェントで分担し、調査や作業を短時間で進める使い方が見込まれます。ただし、どの程度速くなったのかは報道の見出しからは分かりません。
もう一つの例は、空調大手のTrane Technologiesです。Amazon Bedrock AgentCore上にAIエージェントを構築し、複数の画面をまたいで20分以上かかっていた設備診断を、自然言語による20秒の対話に縮めました。この数字は、技術者と数週間にわたって社内で計測したものです。開発期間は3〜4週間でした。構成の特徴は、エージェントの「判断」と「ツールの実行」を分け、稼働データを集中管理している点です。なお、参照した抜粋からは、この事例が複数エージェントによる構成なのかどうかは確認できません。エージェントを業務に組み込んだ例として紹介します。
使い方
始め方は大きく2通りあります。一つは、ChatGPTのような既製のサービスに備わった並列処理の機能をそのまま使う方法です。もう一つは、AgentCoreのような開発基盤の上に自社用のエージェントを組む方法です。
自社で組む場合、設計で決めることは主に3つです。どの単位で仕事を分けるか、各エージェントにどのツールやデータへのアクセスを許すか、結果を誰がどうまとめるかです。Traneが判断と実行を分けて設計したのは、2つ目の権限管理にあたります。
料金
GPT-6 Astra Proの並列処理をどのプランで使えるか、またAmazon Bedrock AgentCoreの料金がいくらかは、当サイトの参照情報では確認できていません。正確な金額は、各社の公式の料金ページで確認してください。
仕組みからいえることもあります。処理量に応じて課金されるサービスでは、エージェントの数が増えるほど処理量も増えるため、単体で動かすより費用は増える方向に働きます。導入を判断する材料としては、Traneのように「何分かかっていた作業が何秒になったか」を自社で計測し、費用と比べるのが具体的です。
誰が作っているのか・競合
本記事で確認できる提供企業は2社で、提供の形が異なります。OpenAIは、ChatGPTという完成したサービスの機能として提供しています。AWSは、企業が自前でエージェントを組むための基盤(Amazon Bedrock AgentCore)として提供しています。
この2社以外の提供企業や市場シェアについては、本記事の参照情報に含まれていないため扱っていません。

