ガスタービンとは、空気を圧縮して燃料と一緒に燃やし、その高温・高圧のガスでタービン(羽根車)を回して回転動力を取り出す内燃機関です。この回転で発電機を回せば発電設備になり、排気の勢いを推力に使えば航空機のジェットエンジンになります。
ガスタービンとは:仕組み
基本の構成は「圧縮機」「燃焼器」「タービン」の3つです。圧縮機で空気を押し縮め、燃焼器で天然ガスなどの燃料と混ぜて連続的に燃やし、膨張したガスでタービンを回します。タービンの回転の一部は同じ軸につながった圧縮機を回すのに使われ、残りが外部へ取り出せる出力になります。
ピストンが往復するレシプロエンジンと違い、燃焼が途切れず回転運動だけで動くため、大きな出力を比較的コンパクトな設備で得られます。また、排気がまだ高温なので、その熱で蒸気を作り蒸気タービンも回す「コンバインドサイクル発電」に使われ、火力発電所の主力方式の一つになっています。
何に使えるのか:発電とデータセンター電源
主な用途は、電力会社の火力発電、工場の自家発電、航空機のエンジン、船舶の推進です。
最近の新しい用途が、AIデータセンターの電源です。電力網からの供給が追いつかない場所で、ガスタービン発電機を敷地内に置いて電気を自前で作る動きがあります。当サイトの報道では、AIデータセンター大手のCrusoeが、超音速旅客機を開発するBoom Supersonicのガスタービン発電機「Superpower」(1基42MW)を29基導入する計画を立てていました。ただし、この計画は後に撤回されています。BoomのCEOは、撤回の理由を「タービンがCrusoeの当面の主電源から外れたため」と説明しました。
料金:いくらかかるのか
ガスタービンには定価表がありません。出力、台数、保守契約、燃料の調達条件によって個別に見積もられるため、一般的な相場はここでは示せません。
公開されている手がかりの一つが、上記のCrusoeの計画です。42MW機29基で12.5億ドルという金額でした。単純に割ると1基あたり約4,300万ドルになりますが、これは筆者の計算です。保守や付帯設備が含まれていたかは確認できていません。導入費とは別に燃料費と排ガス対策の費用もかかります。
規制の注意点:大気汚染
ガスタービンは燃料を燃やすため、排ガスが出ます。米国では、xAIのデータセンターに関連してミシシッピ州で使われているガスタービンをめぐり、大気汚染の訴訟が起きています。SpaceXは訴訟の却下を求めましたが認められませんでした。報道によれば、裁判官は「このタービンは大気浄化法(Clean Air Act)の適用除外に当たらない」と判断しました。仮設や短期の利用であっても排出規制の対象になりうる例として、導入を検討する企業は押さえておくべき事例です。
誰が作っているのか:主なメーカー
発電用の大型ガスタービンでは、GE Vernova(米国)、Siemens Energy(ドイツ)、三菱重工業(日本)が代表的なメーカーです。これに対しBoom Supersonicは、航空機向けの技術を使って発電用タービンに参入した新しいプレーヤーです。最初の大口顧客と報じられたCrusoeが離れたことで、Boomの今後の受注状況が投資家にとって注目点になります(これは筆者の見立てです)。

