用語解説 マルチベンダー

マルチベンダーとは

マルチベンダーとは、1社に頼らず複数の提供元の製品やサービスを組み合わせてシステムを作ることです。AIでは、複数の事業者のモデルを使い分ける構成を指します。この記事では、使い方、料金の考え方、国産AI「Fuga 5000」の事例、提供企業と競合を整理します。

マルチベンダーとは、1つのシステムやサービスを1社の製品だけで作らず、複数の提供元(ベンダー)の製品やサービスを組み合わせて作ることです。AIの分野では、複数の事業者が提供するAIモデルを使い分けたり、同時に動かしたりする構成を指します。

マルチベンダーとは:シングルベンダーとの違い

もともとはIT調達の用語です。サーバ、ネットワーク機器、ソフトウェアを1社でそろえる「シングルベンダー」の反対の意味で使われてきました。

利点は3つあります。特定の1社に依存しすぎずに済むこと(ベンダーロックインの回避)、用途ごとに一番合う製品を選べること、そして各社を比べながら価格を交渉できることです。

欠点もあります。製品どうしをつなぐ作業や動作の確認、障害が起きたときにどこが原因かを調べる作業が、利用者側の負担になります。問い合わせ窓口が複数に分かれるため、運用の手間も増えます。

AIでのマルチベンダーの使い方

エンジニア向けに、よくある作り方を説明します。アプリと各社のAPIの間に「ゲートウェイ」や「ルーター」と呼ばれる中継の層を置き、処理の内容、コスト、応答速度に応じて呼び出すモデルを切り替えます。

具体的な使い方は次の3つです。 - ある会社のAPIが障害で止まったら、別の会社のモデルに自動で切り替える - 簡単な処理は安いモデルに、難しい処理は高性能なモデルに振り分ける - 同じ質問を複数のモデルに投げ、答えを比べたり多数決を取ったりする

注意点もあります。プロンプトの効き方、出力の形式、料金、1分あたりのリクエスト数の上限(レート制限)、入力データの扱いに関する規約は、会社ごとに違います。そのため、入出力をそろえる仕組みと、品質を評価し続ける仕組みが必要です。

マルチベンダーの料金

マルチベンダーは製品の名前ではなく、システムの組み方の考え方です。そのため、マルチベンダーそのものに料金はありません。

かかる費用は、使う各社のAPI料金(多くは使った分だけ払う従量課金)の合計に、中継の層や運用の費用を足したものです。

企画・DXの担当者にとっての導入理由の一つは、処理の振り分けでコストを抑えられることです。ただし、どれだけ下がるかは処理の内容や量で変わります。決まった削減率はありません。

事例:国産AI「Fuga 5000」

当サイトでは、国産AI「Fuga 5000」が開発者向けに公開されたと報じました(情報源はPR TIMESとASCII.jp)。1日に5000体のAIを「スウォーム(群れ)」としてマルチベンダーで動かす仕組みで、発表元は「世界最大級」の規模だとしています。

ただし、現時点で確認できているのは見出しだけです。開発元の企業名、組み合わせるAIの提供元、利用料金、具体的な用途は分かっていません。「世界最大級」は発表元の主張で、当サイトでは確かめていません。

誰が提供しているのか・競合は何か

投資家向けに整理します。AIのマルチベンダーを実現する手段は、大きく2つあります。1つは、大手クラウドが複数社のモデルを1つの窓口で提供するサービスです(例:Amazon Bedrock)。もう1つは、複数社のAPIをまとめて呼び出せるようにする中継サービスです。

Fuga 5000がこれらとどう違うのか、どこが競合になるのかは、開発元の情報が公開されていない現時点では判断できません。当サイトの推測としては、「多数のAIを群れとして協調させる」という仕組みが、モデルの切り替えを主な目的とする既存サービスとの違いになる可能性があります。ただし、これは裏付けのない見立てです。

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