ファウンドリーとは、他社が設計した半導体を請け負って製造する事業、またはそれを営む企業のことです。工場を持たずに設計だけを行う「ファブレス」企業から設計データを受け取り、シリコンウェハー上に回路を作り込んで納めます。
なお、同じ名前のソフトウェア製品(Palantir Foundry、Microsoft の Azure AI Foundry など)もありますが、この記事では半導体のファウンドリーを扱います。
ファウンドリーとは:ファブレス・IDMとの違い
半導体企業の形は大きく3つに分かれます。設計から製造までを自社で行う IDM(垂直統合型)、設計だけを行うファブレス、製造だけを行うファウンドリーです。
最先端の工場を建てるには巨額の投資が必要で、1社で設計と製造の両方を最先端に保ち続けるのは難しくなっています。そのため設計と製造を別の会社が担う分業が広がりました。ファウンドリーは多くの顧客から注文を集めて工場の稼働率を上げ、設備投資を回収します。事業会社から見れば、工場を持たなくても自社専用のチップを作れる仕組みです。
使い方:契約からテープアウトまでの流れ
エンジニアから見た一般的な流れは次のとおりです。
まず製造プロセス(いわゆる「ノード」)を選び、ファウンドリーと契約して PDK(プロセス設計キット)を受け取ります。PDK にはトランジスタの特性や配線のデザインルールが入っており、EDA ツールで設計するときの前提になります。
設計と検証が終わったら、製造用のデータを渡します。これを「テープアウト」と呼びます。ファウンドリーがウェハーを製造した後、切り出し・パッケージング・テストといった後工程は、OSAT と呼ばれる別の専業会社が担うことも多くあります。
試作や少量生産なら、複数の顧客の設計を1枚のウェハーに相乗りさせる MPW(マルチプロジェクトウェハー)を使うと、費用を抑えられます。
料金:公開された価格表はない
ファウンドリーの料金は顧客ごとの契約で決まり、標準の価格表は公開されていません。基本はウェハー1枚あたりの単価で、プロセスが微細なほど高くなります。これに加えて、回路を焼き付けるためのマスクの製作費などの初期費用がかかります。
具体的な金額は当サイトで確認できていないため、ここには書きません。企画・DX の立場で専用チップを検討する場合は、生産量が少ないと初期費用の負担が重くなる点が判断のポイントになります。
誰が作っているか:主要企業と競合、最近の動き
代表的なファウンドリーは、台湾の TSMC、韓国の Samsung、米国の GlobalFoundries(GF)、台湾の UMC、中国の SMIC です。売上高の首位は TSMC です。Intel は IDM ですが、外部からの製造受託にも乗り出しています。日本では Rapidus が最先端ロジック半導体の量産を目指しています。
当サイトが最近報じた動きは2つあります。1つは、日本が最大3.3兆円を投じて米国に半導体工場を2つ建て、その運営を GF が担う計画です。現時点で確認できているのは見出しだけで、立地や品目、稼働時期は分かっていません。
もう1つは、イーロン・マスク氏が半導体製造構想「Terafab」をめぐって TSMC と協議していると認めたことです。提携先として名前が出ているのは TSMC のほかに Intel だけで、製造した半導体は Tesla、SpaceX、xAI の3社にだけ供給されるとされています。
ここからは当サイトの見立てです。この2件からは、国家や大企業が最先端の製造能力を自ら確保しにいく動きが読み取れます。ファウンドリーを選ぶときの基準として、技術や価格だけでなく、工場がどこにあるかの重みが増しています。

