OCPとは
OCP(Open Compute Project)は、データセンターで使うサーバー、ストレージ、ラック、電源、ネットワーク機器のハードウェア設計を公開し、業界で共有する非営利の団体です。2011年にFacebook(現Meta)が自社データセンターの設計を公開して始めました。その後、Microsoft、Google、半導体メーカー、サーバーメーカーなどが参加しています。
なお「OCP」という略語は、ソフトウェア設計の「開放閉鎖原則(Open/Closed Principle)」やOracleの資格を指すこともあります。この記事ではOpen Compute Projectを扱います。
何ができるのか(エンジニア向け)
OCPの中心は、ハードウェアの仕様書と設計データです。メーカー独自の作りに縛られず、仕様に沿った機器を複数のベンダーから調達できるようにすることが目的です。対象はサーバー、ラック(Open Rack)、電源、冷却、ネットワークと幅広くあります。たとえばサーバー向けネットワークカードの形状規格「OCP NIC 3.0」は、多くのサーバーで採用されています。
使い方は、大きく2通りです。
- 公開された仕様書を読み、OCP準拠の製品を選んで調達する - 作業部会(プロジェクト)に参加し、仕様づくりに関わったり、自社の設計を提供したりする
料金・費用の考え方(企画・DX向け)
OCPはソフトウェアのように「月額いくら」で使う製品ではありません。仕様書は公開されています。費用がかかるのは、OCP準拠のハードウェアを買うときと、団体の会員になるときです。会員の区分ごとの具体的な金額は、この記事では確認できていないため書きません。最新の金額はOCPの公式情報で確認してください。
事業会社にとって関係が深いのは、大規模なデータセンターやAI基盤を自社で持つ場合です。クラウドを使うだけなら、OCPに直接関わる場面は多くありません。ただし、クラウド事業者の設備はOCPの流れをくんでいることがあります。
誰が関わっているのか、最近の動き(投資家向け)
OCPは年1回の大きな会議「OCP Global Summit」を開き、主要ベンダーがここで新しい製品や設計を発表します。2026年の当サイトの報道では、次のような動きがありました。
- **NVIDIA**:次世代プラットフォーム「Vera Rubin」のアーキテクチャをOCPの場で公開すると発表しました。狙いは、世界各地で「AIファクトリー」を広げやすくすることです。 - **AMD**:OCPのサミットで、AIエージェント向けのラック「Helion」を発表しました。 - **業界全体**:米Data Center Frontierは、エージェント型AIがデータセンターを「チップから電力網まで」変えていると伝えています。
NVIDIAとAMDの発表について、公開の範囲、構成、性能、出荷時期は報道の見出しからは確認できていません。
競合や代わりになるものは、各メーカーの独自設計のハードウェアです。OCPと同じようにハードウェアの共通仕様を目指す取り組みとしては、Open19などもあります。ここからは筆者の見方です。AIの普及で電力と冷却の重要性が増しており、主要チップメーカーが新しいラック設計をOCPで発表している状況を見ると、OCPは業界標準を決める場としての重みを増していると考えられます。


