DGX Spark(ディージーエックス・スパーク)は、NVIDIAが開発したデスクトップ型の小型AIコンピューターです。データセンター向けのAI技術を机に置ける1台に収めたもので、クラウドを使わずに大規模なAIモデルを手元で開発・実行できます。
DGX Spark とは
NVIDIAは2025年1月のCESで「Project DIGITS」という名前でこの製品を予告し、同年3月のGTCで「DGX Spark」として正式に発表しました。中核の部品は、CPUとGPUを1つのパッケージにまとめた「GB10 Grace Blackwell Superchip」です。標準構成のメモリは128GBで、CPUとGPUが同じメモリを共有するユニファイドメモリ方式です。NVIDIAは、AIの演算性能をFP4精度で最大1ペタFLOPSと公表しています。
「DGX」は、NVIDIAがデータセンター向けに展開しているAIシステムのブランドです。DGX Sparkはその中で最も小さい製品にあたります。
何ができるのか・使い方
主な用途は、生成AIモデルの試作、ファインチューニング(追加学習)、推論の検証です。NVIDIAの公表値では、1台で最大2000億パラメータ級のモデルの推論ができ、2台をネットワークでつなぐと約4050億パラメータ級まで扱えます。
OSはUbuntuを基にした「DGX OS」で、NVIDIAのAI向けソフトウェアが最初から入っています。基本的な使い方は、手元でモデルを作って試し、本番規模の学習や運用はクラウドやデータセンターのDGXに移すという流れです。どちらも同じNVIDIAのソフトウェア基盤なので、移行の手間を減らせる点を同社は売りにしています。
事業会社にとっては、機密データを社外のクラウドに出さずにAIを試せる点が導入の理由になり得ます。ただし、これは製品の用途からの推測で、導入事例を確認したものではありません。
料金と64GBモデル
2025年10月の発売時の価格は3999ドルでした。その後NVIDIAは、メモリとストレージの容量を半分にした4999ドルのモデルを発表しました。英The Registerはこれを「メモリ不足のさなか」の動きと報じています。NVIDIAの公式ブログでも64GB版が紹介され、ローカルでAIを開発する人向けの選択肢を増やすものと位置づけられています。
容量が半分のモデルが発売時の価格より高いことから、メモリ価格の高騰が背景にあると考えられます(推測です)。128GBモデルの現在の価格、日本での販売価格、64GB版の発売時期は、確認できていません。
誰が作っていて、競合は何か
開発元はNVIDIAです。ASUS、Dell、HP、LenovoなどのPCメーカーも、同じGB10チップを載せた製品を自社ブランドで販売しています。
大きなモデルを手元で動かす用途で比べられやすいのは、大容量のユニファイドメモリを積めるAppleのMac Studioや、AMDのRyzen AI Max(開発コード名Strix Halo)を載せた小型PCです。これらを競合とするのは当サイトの見方です。NVIDIAの強みは、CUDAを中心にこれまで積み上げてきたAI向けソフトウェアを、そのまま使える点にあります。

