CDN(Content Delivery Network)とは、Webサイトの画像・動画・JavaScriptなどのファイルを世界各地のサーバーにコピーしておき、利用者に近い場所から配信する仕組みです。元のサーバー(オリジン)まで毎回取りに行かずに済むので、表示が速くなり、オリジンの負荷も下がります。
CDNとは:仕組みと何ができるのか
利用者がサイトにアクセスすると、DNSの仕組みで近くの配信拠点(エッジサーバー)に案内されます。エッジにファイルのコピー(キャッシュ)があれば、そこからすぐに返します。なければオリジンから取ってきて保存し、次からはエッジだけで返します。
この仕組みでできることは主に4つあります。1つ目は、海外など遠くからのアクセスでも待ち時間を短くすること。2つ目は、アクセスが集中したときにオリジンの代わりに応答し、サイトが落ちるのを防ぐこと。3つ目は、DDoS攻撃を受け止めたり、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)で不正なリクエストを入口で止めたりすること。4つ目は、動画のストリーミングやソフトウェア更新ファイルなど、大容量のデータを大量に配ることです。
CDNの使い方:導入の手順
基本の手順は3段階です。まず、CDN事業者の管理画面にオリジン(自社サーバーやクラウドストレージ)を登録します。次に、自社ドメインのDNS設定を変え、アクセスがCDNに向かうようにします(CNAMEレコードを使う方法が一般的です)。最後に、何をどれだけの時間キャッシュするかのルールを決めます。
キャッシュの時間は、主にHTTPの Cache-Control ヘッダーで指定します。注意が必要なのは、ログイン後のページや個人情報を含む応答です。これらはキャッシュしない設定にしないと、別の利用者に表示されるおそれがあります。ファイルを更新したときは、パージ(キャッシュの削除)を実行するか、ファイル名にバージョン番号を入れて古いキャッシュと区別します。
エッジサーバーの上で自社のコードを動かせる事業者もあります。リダイレクトやA/Bテストなどを、オリジンに届く前に処理できます。
CDNの料金の考え方
料金体系は事業者やプランごとに違うため、この記事では具体的な金額を載せません。主に次の要素で料金が決まります。
- 配信したデータ量(転送量) - リクエスト数 - 配信する地域 - WAFやボット対策などの追加機能
無料プランがある事業者もあれば、大企業向けは個別見積もりという事業者もあります。比較するときは、自社の月間転送量と、利用者が多い地域を先に調べ、各社の公式料金ページで試算するのが確実です。CDNを入れるとオリジン側のサーバーや回線を減らせる場合があるので、CDNの料金だけでなくインフラ全体の費用で比べることをおすすめします。
CDNの主な事業者と競合
代表的な事業者には、古くからこの分野にいるAkamai、Cloudflare、Fastlyがあります。AWSのAmazon CloudFrontのように、大手クラウドが自社サービスとして提供するCDNもあります。各社の強みは世界中に分散した拠点網で、配信だけでなく、セキュリティやエッジでの計算処理にも事業を広げています。
最近の例として、クラウド WatchとData Center Dynamicsは、AkamaiがAI開発企業のAnthropicと116億ドル規模のコンピューティング契約を結んだと報じました。AnthropicがAIモデルの開発や提供に使う計算資源をAkamaiが供給する内容とみられます。ただし、当サイトで確認できたのは見出しの情報だけで、契約期間、設備、GPUの構成、開始時期は分かっていません。CDN事業者が持つ拠点網や運用の力が、AI向けの計算資源にも使われ始めているというのは、当サイトの見方(推測)です。

