海底ケーブルとは、海の底に敷いて大陸や島どうしを結ぶ通信用のケーブルです。中心は光ファイバーで、国をまたぐインターネット通信やクラウド間のデータ転送の大半がこのケーブルを通っています。
海底ケーブルとは:仕組みと特徴
構造は、光ファイバーを鋼線や樹脂の外装で包んだものです。距離が長いと光信号が弱まるため、途中に中継器(リピーター)を置いて信号を増幅します。陸側では、海岸の陸揚げ局で陸上の通信網につながります。浅い海では漁具や錨で傷つきやすいため、外装を厚くしたり海底に埋めたりします。
衛星通信より容量が大きく、遅延も小さいのが特徴です。一方で、切れると修理船が現場まで行く必要があり、復旧に時間がかかります。そのため通信事業者は複数のルートを確保し、1本が切れても通信を続けられるようにしています。
使い方:エンジニアや企業はどう利用するのか
一般の企業が海底ケーブルを直接契約することはほとんどありません。実際には次のような形で間接的に使っています。
- 通信事業者やクラウド事業者の国際回線を経由する(海外リージョンへのアクセスや、海外拠点とのVPNなど) - 回線事業者から国際専用線や帯域を購入する - 大口の利用者が、ケーブル容量の長期の使用権(IRU:Indefeasible Right of Use)を取得する
エンジニアにとっては、海外リージョンとの遅延や、障害時にどのルートへ迂回されるかが設計上のポイントになります。企画・DXの担当者にとっては、海外拠点との通信品質や、障害時の事業継続計画(BCP)を検討するときに関わってきます。
料金:いくらかかるのか
海底ケーブルの利用料金には、公開された定価表がありません。容量の使用権や帯域の価格は、区間・容量・契約期間に応じて個別の契約で決まります。建設費も1本ごとに異なり、この記事で具体的な金額を示せるだけの確かな情報は持っていません。
一般の企業が実際に負担するのは、国際専用線の料金やクラウドのデータ転送料金です。費用を見積もるなら、通信事業者やクラウド事業者に問い合わせるのが現実的です。
誰が作っているのか:主要メーカーと出資者
ケーブルを製造・敷設する主なメーカーは、日本のNEC、米国のSubCom、フランスのAlcatel Submarine Networks(ASN)です。中国系ではHMN Techがあります。
所有の形は、かつては各国の通信事業者が共同で出資するコンソーシアム方式が中心でした。近年は、Google、Meta、Microsoft、Amazonなどの大手IT企業が、自社の通信需要のために出資・敷設する例が増えています。当サイトでも、Metaがペタビット級の大洋横断海底ケーブル「Petal」を計画しているという英Data Center Dynamicsの報道を取り上げました。この容量の大洋横断ケーブルとしては初めてとされています。敷設ルートと完成時期はまだ明らかになっていません。
リスク:安全保障の対象になる海底ケーブル
海底ケーブルは国際通信の要なので、切断や妨害は安全保障の問題として扱われています。当サイトでは、中国の調査船が海底ケーブルの近くにとどまり、フィリピン側の退去要求に応じていないというTom's Hardwareの報道を取り上げました。ただし、船の名前や場所、どのケーブルの近くか、実際に損傷があったかは確認できていません。
ここからは筆者の推測です。投資家の立場では、地政学的なリスクがルートの選び方や冗長化への投資を左右する要因になると考えられます。

