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Vicor、AI大手OEMに垂直電力給電(VPD)の特許ライセンスを供与

米電源モジュール大手のVicorは、AI分野の大手OEM企業1社に、垂直電力給電(VPD)技術の非独占ライセンスを供与した。VPDはプロセッサの真下から高電流密度で電力を送る方式で、基板上を横に配線する従来方式の「ラストインチ問題」を避けられる。ライセンスを受けたOEMは、Vicorの特許に関わるVPDモジュールをライセンスを持たないサプライヤーからも調達できるようになる。早期取得ほど低いロイヤルティ率を適用する制度も設けた。

半導体のイメージ

Vicorは2026年9月17日(米国東部時間)、AI分野の大手OEM企業に対し、垂直電力給電(Vertical Power Delivery:VPD)技術を対象とする非独占的なライセンスを供与したと発表した。相手先の社名は明らかにしていない。

VPDは、低電圧の電源からAI計算やネットワーク処理用のプロセッサへ、高い電流密度で電力を送り込む仕組みだ。「マルチセル・コンバータ」とVPDネットワークで構成される。従来の水平電力給電(LPD)では、基板上を横方向に電流を流すため、プロセッサの直前まで効率よく電力を届けるのが難しい。この「ラストインチ問題」を、電源をプロセッサの垂直方向に配置することで回避する。Vicorは、この方式を米国で10年にわたる研究開発の成果による基盤特許で押さえているとしている。

ライセンスを受けた企業は、ライセンスを持たない世界のサプライヤーから、マルチセル電圧レギュレータ(VR)や統合型VR(IVR)を多層に積み重ねるVPD製品を調達できるようになる。Vicor自身が「ChiP」パッケージで製造する電流増倍型モジュール「MCM」も選べる。Vicorから高性能AIアクセラレータ向けのモジュールを買えば、他社製の汎用モジュールにかかるロイヤルティが大きく割り引かれる可能性もあるという。

今回の発表は、技術提供であると同時に知財戦略の表明でもある。Vicorは、HPCやネットワーク用プロセッサのVPD移行が進むほど、ライセンスを持たないOEMやハイパースケーラーは供給網を守るためにライセンスが必要になると主張する。早期に取得すれば低いロイヤルティ率が適用される制度を設ける一方、権利侵害の疑いがあるサプライヤーとの契約に補償条項があっても、輸入差止めの対象から外れるわけではないと警告した。

AIアクセラレータの消費電力が増えるにつれ、電力をどうプロセッサまで運ぶかは性能を左右する要素になっている。Vicorは米国内の製造拠点を含むマルチソースの選択肢を示しつつ、ライセンス料を収益源に据える戦略を鮮明にしたといえる。

出典 — PR TIMES

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