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TypeSafe AI、文章を書かないAI「Jev」公開。判断だけJSONで返す

米TypeSafe AIが9月15日(現地時間)に発表したAIモデル「Jev」が話題を集めている。会話はせず、あらかじめ定義した型に沿った「判断」だけを確率と確信度付きでJSONとして返すのが特徴で、同社はこれをLLMとは別の「System Oneモデル」という新カテゴリだと位置づける。同社の自社ワークフロー評価では、フロンティアモデルと比べて193.6倍速く444.6倍安いと主張。開発したのは元OpenAI研究者で、InstructGPT論文の共著者の一人であるディオゴ・アルメイダ氏だ。

米スタートアップのTypeSafe AIが9月15日(現地時間)に発表したAIモデル「Jev」が、国内外のAIコミュニティで急速に注目を集めている。創業者ディオゴ・アルメイダ氏の発表は、9月20日時点でX上で3700万回以上表示された。約2年の開発を経た同社初のモデルで、ChatGPTのような会話型AIではない。ユーザーが定めた質問と選択肢に対して、「判断」だけを構造化データ(JSON)として返す。同社はこれをLLMとは別の「System Oneモデル」という新カテゴリの最初のモデルだとしている。名称は、ダニエル・カーネマンが『ファスト&スロー』で示した、直感的で常時稼働する「システム1」に由来する。

中身を見ると、位置づけが分かりやすい。多くのLLMがテキストをトークン単位で1つずつ生成するのに対し、Jevはあらかじめ定義した型に沿った値を、確率と確信度付きで一度に出力する。型は3つだ。最大255個の選択肢から1つを選ぶChoice、指定範囲の数値を返すScore、はい/いいえの確率を返すNoul。Noul以外では確率に加えて確信度も返るため、開発者は「確信度が一定以上ならそのまま後続処理へ、満たなければLLMか人間に回す」という分岐を書ける。同社が「スマートなif文だと考えてほしい」と説明するのはこのためだ。学習には「RLCD(キャリブレーションした判断のための強化学習)」という独自手法を使い、確信度が高いほど実際の正答率も高くなるよう調整したという。想定用途は問い合わせの振り分けや優先度付け、AIエージェントの出力チェック、大量データの分類だ。デモでは約100ミリ秒ごとに操作を判断してDOOMをプレイさせる例や、Wikipediaのリンクをたどる「Wikiレーシング」でLLMを圧倒する例が公開されている。

数字は派手だ。同社は既存LLMに同じタスクをさせた場合と比べて20〜200倍速く、40〜1000倍安いと主張し、自社ワークフロー評価ではOpenAIのGPT-6 AstraやAnthropicのClaude Fable 5.1といったフロンティアモデルに対して「193.6倍速く、444.6倍安い」としている。ただし、いずれも同社自身の評価に基づく数値だ。議論を呼んでいるのは「Jevは文字列生成機能を持たない代わりに構造化出力に特化しており、ハルシネーションを起こすことがない」という主張で、確率と確信度を返すモデルが誤った判断を返す可能性と、文字列を捏造しないこととは別の話ではないか、という点が論点になっている。

なお「Jev」という名前は、蒸気機関の効率化がかえって石炭需要を増やした「ジェヴォンズのパラドックス」で知られる経済学者ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズにちなむ。AIも安くなるほど新たな用途が増える、という見立てが込められている。

出典 — ITmedia AI+

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