セキュリティ / Ars Technica /2 分

Google、サプライチェーン攻撃集団TeamPCPに潜入。内部から被害を抑止

Googleの脅威インテリジェンス部門が、オープンソースを連鎖的に汚染した攻撃集団「TeamPCP」の中核チャットに、子会社Mandiantの覆面アナリストを潜入させていたと明らかにした。研究カンファレンスLABScon での講演で公表したもので、集団が表舞台に出たほぼ初期から内部を観測していたという。Googleは盗まれた認証情報の保管サーバーにも到達し、AWSやMicrosoftなどの提供元に無効化を依頼することで、恐喝が本格化する前に攻撃の収益化を妨害した。先月にはオーストラリア人2名が逮捕・訴追されている。

Googleの脅威インテリジェンス部門が、サプライチェーン攻撃集団「TeamPCP」の内部に自社の覆面アナリストを送り込んでいたことを明らかにした。セキュリティ企業SentinelOneが主催する研究カンファレンス「LABScon」で、同部門のAustin Larsen氏が講演の中で公表したものだ。TeamPCPは2025年終盤にオンライン上に現れたとされる集団で、オープンソースソフトウェアにマルウェアを仕込み、そこで奪った開発者の認証情報を使ってさらに別のツールを汚染する、という連鎖を繰り返した。侵害を受けた企業は1000社を超えるという。先月にはオーストラリア連邦警察がFBIの協力を得て、20代前半のオーストラリア人2名を逮捕し、ハッキング関連の罪で訴追している。

攻撃の連鎖は具体的だ。今春以降、脆弱性スキャナのTrivy、AIのAPIを扱うLiteLLM、Webアプリセキュリティ企業Checkmarxのインフラ、WebライブラリのTanStack、そしてMistral AIが次々と侵害された。その結果としてコードリポジトリのGitHub、データ関連の受託企業Mercor、さらにOpenAIや欧州委員会の従業員端末にまで被害が及んだ。集団は一連の作業を自動化するため「Mini Shai-Hulud」と呼ぶワームも投入している。Larsen氏によれば、Googleのペルソナは数カ月かけて集団の関係者との信頼関係を築いており、3月には「CanisterWorm」と呼ばれる約12名の中核チャットへ招き入れられた。内部のやり取りには「現代史上最大のサプライチェーン攻撃をやってのけた」という書き込みも残っていたという。

潜入の価値は観測だけではなかった。アナリストは、被害企業から奪ったユーザー名・パスワード・アクセストークンを集めたサーバーにアクセスできる状態にあった。Googleは、被害企業1社ずつに連絡していては数が多すぎて間に合わないと判断し、まずAWSやMicrosoftのように認証情報が実際に使われる提供元へ連絡して失効させる方針を取った。数百通の通知メールを提供元と被害企業に送り、多くから即座に反応があったとしている。Googleはこのほか、TeamPCPと一度は手を組みながら後に敵対したShinyHuntersからも情報を得たほか、容疑者の一人が残した運用上の不注意をたどって身元につながる情報を捜査当局に渡したという。

この一件が示すのは、サプライチェーン攻撃が「一度の侵入」ではなく、侵入を次の侵入の材料にする設計になっているということだ。そして防御側の対抗手段も、被害を受けた個社に連絡して回るのではなく、認証情報が通用するプラットフォーム側でまとめて無効化するという、より上流での封じ込めに移っている。

出典 — Ars Technica

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